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イラン、司令官級6名自爆テロで殺害さる Radical Sunnis

2009-10-19 | グローバル政治
2009年10月19日(月)

Financial Timesは日曜日、革命防衛隊(Revolutionary Guard)の副司令官を含む6名の幹部と、その他29名が、自爆テロの犠牲となったことを報じている。

このイラン革命政府に対する公然たる攻撃は、ここ20年来で最大規模となり、将官級の犠牲者数から見た規模においては、イラン・イラク戦争以来のものとなる。現在、6月の大統領選挙後の国内騒乱と、核問題での欧米との対立で難しい立場にあるイランであるが、その国内の複雑な対立関係を図らずも世界に露呈した。

今回の自爆テロは、パキスタンとアフガニスタンと国境を接する南東部シスタンーバルチスタン県で発生したが、パキスタン国内に本拠を置くスンニ派過激派「Jundallah」が犯行声明を出した。

イラン政府中枢は、イスラム教シーア派が占めているが、一方対立するスンニ派は、パキスタンやアフガニスタンを本拠とするアルカイダから支援を受けて、「バルチスタン分離運動」と結びついて反政府運動を展開してきた。

このバルチスタンと一般に呼ばれるこの地域の、1400kmに及ぶアフガニスタンとパキスタンとの国境では、スンニ派の過激派とアルカイダが結びついた反政府グループが自由に行き来し、麻薬取引のルートとなっているのが現実である。

そして、イランの7000万人の人口のうち、ペルシャ人は半数であり、のこりはバルチ人、クルド人、アゼル人、トルコ人などから構成されており、人種間対立はいつも火種となる可能性がある。

とりわけバルチスタン分離派は、クルディスタンと呼ばれるクルド人地区の分離運動を支援して、イランの内部崩壊を策動している。このため革命防衛隊のエリート司令官が派遣されて治安維持に当たってきたのであるが、今回の事件は、シーア派政府にとって大きな打撃である。

アフマディーネジャード大統領は、早速声明を出し、この事件は、米英と名指しこそしないが、その諜報機関の関与を強く非難し(accused unspecified foreigners of complicity)、パキスタンに対しては、犯人の捜査と引渡しを要求した。米国国務省は、これに対して「無関係」と直ちに応酬した。