リベルタ・ヴォイスアカデミー

声楽講師:冨岡由理弥(×富岡由里弥)の日々。
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考察~Giulio Cesare編~

2017年12月24日 | Weblog
ヘンデルのオペラ
「ジュリオ・チェーザレ」
いわばジュリアス・シーザーの物語。

初演:1724年2月20日 ロンドン・ヘイマーケット国王劇場
台本:ニコラ・フランチェスコ・ハイム


ヘンデルは通常は1つのオペラを
数週間で書き上げる事で知られていますが
このジュリオ・チェーザレに関しては
数か月をかけており、
尚且つ手直しされた箇所も多いという。

思い入れが強かったのでしょう。

チェーザレは紀元前100~紀元前44に存在した
独裁官でローマの将軍であった
ガーイウス・ユーリウス・カエサルがモデル。
当時のエジプトはクレオパトラ7世と
プトレマイオス13世(オペラではトロメーオ役)が
共同統治していましたが、この2人が不仲だった事により
この物語の重要なポイントとなりました。

ここからは私の思いっきり個人的なイメージですが、
このクレオパトラは、最初のイメージは
「ポッペアの戴冠」に出てくるポッペアに重なるような
そんなイメージもありました。
女のズルさと強かさと計算高さ。
でもそれだけじゃない、純粋な面もあるような。

自分の権力や政治力の為にチェーザレに近づいて誘惑を繰り返しているうちに
いつの間にか本当に心から彼に惹かれていく。

クレオパトラに与えられたアリアは7曲ですが
(この時点で相当多いw)
チェーザレが殺されるかも知れないという事実に
彼の身を案じて歌うアリア「Se pieta' di me non senti」は
その中で最も長く10分を超えます。
そしてこれは、3時間半超のこのオペラにおいて
全43曲ある中でも最も長いアリアです。

ヘンデルが彼女のこの心境について
どれだけ表現をしたかったのかが感じ取れます。
勿論、曲の長さだけでは計れないものですが。


主役以外にも注目すべき役は他にも沢山いて
ポンペーオの息子セストや
エジプト王トロメーオにつく将軍アキッラなどは
このオペラの非常に重要なキーマンであります。


個人的にはチェーザレは男声が演じたほうが
迫力が増すと思うのですが・・・

これはでも意見が分かれるところでしょうか


色々な文献を読んでみたいです