リベルタ・ヴォイスアカデミー

声楽講師:冨岡由理弥(×富岡由里弥)の日々。
対面レッスン(東京・神奈川)&オンラインレッスン(全国・海外も可)

楽譜制作

2013年06月15日 | Weblog
楽譜を制作というと、まるで作曲でもしてるかのような響きですが。
そうではありません

10月の発表会に生徒さんに歌っていただく重唱の楽譜です。
生徒さん方はアマチュアなので、やはり音取りが難し過ぎたり
言葉が多過ぎたりするのはちょっと難しい。
アマチュアが無理なく歌えるオペラの重唱といったら、
それこそ数えるほどしかありません。
それを毎回6~7組ありますので、あっという間にネタが切れます。

みんながみんな毎回モーツァルトばかりを選ぶわけにもいきません。
一度使った曲は数年は使えないので、そうなると更に範囲が一気に限られてしまいます。
今回は25回目にもなるので、とても選曲に苦労をします。

なのでアマチュアでは難しいというものにでも
手を伸ばしていかないとなりません。
しかし原曲はあまりにも難しかったり長過ぎたりする。

そこで、原曲の部分から難しい部分をカットしたり
音形を変えたり容赦なく小節数を削ったり
言葉を少なくして、歌いやすくします。
難易度レベル8~9のものを、少なくともレベル3か4にまで落とした
楽譜を制作し、“歌える曲に編曲”してしまう。
それが私の仕事でもあります。

必須アイテムはハサミと白い紙(カットした小節の上から貼り、
惑わされないようにする為)



そして五楽線という五線のテープ。(写真参照)
音が取りにくい、もしくは複雑な個所については
これを上から貼って、容赦なく音をシンプルに変えていきます。
カットした後の余分な歌詞や、言葉が多過ぎて難しい個所は
言葉も変えていったり、時には日本語にもするので
修正テープも必須。
大作曲家の曲をこんな風に勝手に切り貼りして
怒られちゃうけども

でもこうでもしないと実現が不可能なんです
それこそ原曲では15分以上あるような長いシーンでも
5分以内に短くし、でも有名なメロディやフレーズは
カットしたくないのでそこは残す。
尚かつ個別ばかりではなく、同時にデュエットする部分を
しっかりと入れて、アンサンブルの部分も聴かせるようにする。
カットの関係上、全く別の調に飛んでしまう場合は
和声的に強引じゃないように繋げるのですが、これがまた本当に苦手

実際に歌う生徒さんの音域や技量を考えながら作るので
誰にでも同じカットでは無いので、そこも大事な所です。
歌われる人によってカットの方法は異なるので
一度作った楽譜は、もはやその人達だけの
完全なるフルオーダーメイド


そんな作業をしているので、1曲を作る(編集する?)のに
何日も要する事があるのです。
それでも「あの難しい重唱を歌った!」と
生徒さん方に感動していただくためには絶対に必要な作業

モーツァルトや、ヴェルディの中の比較的簡単なものを歌われる方や
オペラではなく歌曲の2重唱などの方々は楽譜を
作る必要がなくそのままお渡しが出来るのですが。

6月の発表会が終わらないと、落ち着かないとは思いますが
10月までは日程が少なくて足りないので
早め早めにスタートをしないとなりません

なのでもう既に10月の曲に取り組んでる方々も多いです。


先手先手で頑張りますよ~