もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

台風に関する雑記

2018年08月09日 | 社会・政治問題

 房総半島を掠めた台風13号は大きな被害を与えることなく、三陸沖に抜けようとしている。

 洞爺丸台風や伊勢湾台風等については良く知られているので、本日は台風に関する今昔の話を。台風被害については、昭和10年に宮古沖で台風に遭遇した帝国海軍第4艦隊は、新鋭駆逐艦の艦首(艦の前半分)を波にもぎ取られる被害を受けた。昭和17年には米海軍第3艦隊(ハルゼイ提督指揮)がフィリピン東方で駆逐艦3隻沈没、兵員700名を失う被害を受けた。台風の観測技術や台風情報の収集・分析・配布が未発達であった頃の話であるが、台風の猛威の直撃には堅牢な軍艦も耐えきれないことを示している。台風の名称については、気象庁が発生順序に従って付与する番号が一般的であり、アジア地域における台風情報共有を目指して平成12年に設立された台風委員会の命名する名称もあるが、ネット上に散見される程度で民間には定着していないようである。さらに米海軍は独自に名称を付けており、発生順序別にアルファベット順の人名に模したニックネームを付与している(ハリケーンについても同様)。被占領下の日本においても米軍の名称を使用していたため「ジェーン台風」や「キジヤ台風」の名称は今に記憶している。当時は、台風の猛威と狂気にちなんで女性名のみを付けていたが、ウーマンリブの頃から交互に男女名を付けることとなり現在に至っている。これは、アメリカ人のユーモアによるものではなく、電話や電報による情報伝達時の錯誤を防止するためである。台風の進路予想については気象庁が発表するものが主用されるが、前回の台風12号では米海軍の進路予想に触れたテレビがあった。米海軍は台風の目に航空機を飛ばして観測するためにより正確な台風情報を持っており、20年前の経験で恐縮であるが、気象庁、海自の独自予想、米海軍予想を爾後に検証すれば、米海軍の予想が最も近かったことが多かったように記憶している。

 米海軍の台風進路予想もネットで見られる時代になったが、台風情報を含めた気象情報は貴重な戦術情報であるために、日本では戦時中に天気予報の配布が禁止されたり、アメリカでは東京大空襲や原爆投下前に気象観測機を飛ばして目標地域の天気予察を行っている。気象衛星の発達による精緻な予報が共有される今は幸せな時代であろう。


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