もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

「全血」血液製剤を知る

2024年03月05日 | 防衛

 防衛省が、戦傷兵に対する迅速な救急救命のために、血液型に拘わらずに輸血できる「全血対応型血液製剤を独自に製造・備蓄する方針であることが報じられた。

 独自開発には、戦死の多くが失血死であること、令和4年の防衛力整備計画で「血液製剤を自衛隊が自律的に確保・備蓄する体制の構築」が定められていることが背景として挙げられているが、混乱した戦場で一刻を争う救命のためにも、是非とも実現させて欲しいものである。
 具体的には、血液製剤製造の原材料は自衛隊員からの献血で賄うものの、2~4℃の低温状態での保存期間が3週間程度であることから、製造の始期や製造量は今後検討するとされている。
 報道によると、日本では同種の血液製剤は薬事承認されていないそうであるが、これまで災害大国の日本で不必要とされていたのだろうか、さらに医療現場からの要求は無かったのであろうか、との疑念は捨てきれない。自衛隊員であれば、認識票に血液型を刻印しておけば対象者の意識の有無に拘わらずに血液型を知ることができるが、不特定多数の負傷者が殺到し、輸血用血液も払底し、中には意識の混濁した傷者もいるだろう災害現場を考えれば、医療の現場、特に救急救命士などからは全血型血液製剤の欲求はあったのではないだろうか。

 今回の血液製剤の製造・備蓄に関しては、防衛省の例外的運用を厚労省と協議するとなっているが、自衛隊の行動や運用に当っては法律の例外規定とされたものが多く、更には、有事にあっては必要と認識されている行為にあっても例外規定が制定されていないことも多い。これは、有事における自衛隊(軍隊)の任務・行動が如何に一般社会から隔絶したものであるかを物語っているように思える。
 有事法制と聞くと、直ちに集団的自衛権、日米安保の片務性の解消、敵基地攻撃能力の整備が脳裏をよぎるが、今回の血液製剤に関する薬事法の例外規定のように整備しなければならない法律が山ほどあるように思える。
 不勉強の所為で正解は分からないが、敵が国立公園内に橋頭堡を作った場合に陸上自衛隊は、樹木を折っても良いのだろうか?戦車の轍で現状を損なっても良いのだろうか?。


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