もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

”タバコ”2題

2022年12月14日 | 社会・政治問題

 防衛費増額の財源として、煙草税の増税が取りざたされている。

 煙草税は「最も取り易い税金」とされていることから、もはや増税は「取り沙汰」の域を超えて「決定事項」かとも思える。
 JTのHPでは、「煙草には国税、地方税、特別税、消費税の4種類が課税され、一般的な紙巻たばこでの税負担率は6割にも達し、わが国で最も税負担率の重い商品のひとつ」とされている。
 さらに、煙草は定価販売が義務付けされているために、お酒のようにディスカウントショップでの安売りや、懐事情に応じて立ち飲み~高級クラブを選択できる途もない。
 煙草税は、近年では「物質課税」から「健康目的の懲罰税」に変化していることも、愛煙家が反対できない理由の一つになっており、とやかく言おうものなら「四の五の言わずに止めなさい」と一喝されるのが落ちである。
 内心の忸怩を抑えてWikipediaに掲載されている煙草税増税に関するエピソードを紹介(末尾の括弧書きは所感)すると。
〇 財務大臣であった野田佳彦氏は、増税案に「これは、税制を通じた“おやじ狩り”だ」と苦言を呈した。(正論!!)
〇 民主党副幹事長であった吉田公一氏は、衆議院予算委員会で「カネを持っている奴は1日3箱吸っていいが、貧乏人は一日2・3本しか吸っちゃいけないみたいな話だ」と一喝。(ソーダ!!)
〇 日本学術会議は「脱タバコ社会の実現に向けて」で、「煙草税を大幅に引き上げて、税収を確保したまま、煙草消費量の減少を図る」と提言(学術会議不要!!)
 世界各国のたばこ価格を眺めると、日本は中程度であるようにも思えるが、自由価格販売を認める、等級を設けて廉価な銘柄を提供、手巻き用の刻み煙草は低税率、・・・などの施策を講じて自分のような「意志の弱い貧乏人」にも配慮した国も多い様である。
 そういえば、ノーフォーク海軍基地のEM(下士官)クラブでキャメルを吸おうとした際に一緒に飲んでいた米兵から、「キャメルは労働者の煙草であり、ここではキャメルを吸うな」と云われたことがあった。
 ともあれ、自民党たばこ議員連盟や、超党派もくもく会に最後の抵抗を期待するものである。

 ニュージランドでは「2009年以降に生まれた子供は、生涯にわたって紙巻きたばこを吸えない」という法案が成立されたと報じられた。加熱式煙草や電子煙草は対象外とされているが、NZ政府は「禁酒法時代」に範を求めて国民の嗜好にまで制限を設けることが社会正義と考えたのだろうか。

 「煙草を吸わなくても生きて行ける」が煙草税の根底にあるのなら、それ無しでも生きて行ける「ラーメン税」や「ゴルフ税」を設けて、それらに総額6割の税金を掛けてみろ」と言いたい。
 本ブログで以前にも取り上げた筒井康隆氏の「最後の喫煙者」では、自分の連れ合いすら禁煙同盟活動家になった喫煙者が、2人の同病者と安田講堂に立て籠り玉砕するが、煙草税増税は最後の喫煙者の気力すらを奪わんとする政府の陰謀である(笑い:Qアノン風)。


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2 コメント

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タバコと防衛費について (Badman)
2022-12-15 12:42:49
久しぶりに投稿させて頂きます。

20歳にタバコを覚えて30歳でやめましたが、タバコ税が6割を越えているとは知りませんでした。
アランドロンやブロンソンの喫煙姿が「格好いいな」と思って始めましたが、10年かかって私はアランドロンやブロンソンにはなれないなと悟りました。

最近、防衛費増額に伴う増税の話題が世間を賑わしていますが中国、北朝鮮の軍拡は20年以上前から始まっていました。ロシヤのクリミヤ占領も8年前のことでした。
この様な情報はテレビ等で日本国民は知っていました。何故今、「脅威」が降って沸いた様に騒ぐのでしょうか?。私には理解出来ません。

数年前まで陸上自衛隊の実弾演習で「1日で何10億円が消費された」などとテレビなどで紹介されていました。言外に「無駄なことをしないで、もう少し有効に使ったら」と私には聞こえました。

また、最近では「軍事と外交は両輪であり、お互いに補完し合うものだ」という論調も聞こえてきましたが、以前は外交に比重を置いて軍事は論じない雰囲気だったと思います。

国家間の問題を解決する手段として最近まで外交一本槍だった思いますが、東アジアの現状はどうでしょうか?。日本の外交は成功を収めたのでしょうか?。成功であれば防衛費の増額はお茶を濁す程度で良いと思います。

1970年代は文化大革命を賞賛する多数の日本国民もいました。中国共産党は、報道を統制するために産経新聞社の特派員駐在を認めませんでした。産経新聞が中国共産党の言うことを聞かないからです。

私は、国防のために増税は必要であると思っております。何故いままで国防について真剣に論じてこなかったのか不思議です。
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有難うございます (管理人)
2022-12-16 10:36:37
Badman様
ご訪問とコメントを有難うございます。
防衛費の増額やむなしとする現在の世論は、日米安保タダ乗りだけでは独立が維持できない現実をウクライナの惨状が教えたものと考えます。
日本を軍事的裸状態に導いてたのは、「防衛は票にならない」として真正面からの議論を避けた与野党政治家と、平和憲法を持つ日本だけは国際紛争から逃れ得ると主張(誤啓蒙)した言論界の責任が大きいと考えます。
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