サウジアラビアの反体制ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏がサウジの在トルコのサウジ総領事館内で殺害されて半月余が経過した。
殺害・死亡の経緯が次第に明るみになっているが、当初見られていた反体制ジャーナリストの殺害による言論封殺とは別の側面も取り沙汰されるようになった。カショギ氏は、サウジの名家に生まれ王室内で一定の地歩を築いたがビンラディンの影響を受けて、近年では一般的な反体制ジャーナリストの概念を超えてエジプトのイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」の別動隊的な活動家若しくはスポークスマンと見られるようになったと報じられており、アメリカでは同氏の亡命を受け入れたことが問題視されている。そのことはさておき、領事館内での殺害を認めざるを得なくなったサウジは、殺害は「同氏を説得せよ」という指示を超えて起きた偶発的は事件としているが、事件が在外公館内で起きたこと、実行部隊が移動にプライベートジェットを使用していること等を考えれば、殺害はサウジの高いレベルの意思を受けた確信的な犯行であることは間違いないことと思われる。カショギ氏がジャーナリストでるにせよ活動家と呼ばれにせよ、一人の殺害事件が西洋的な改革を目指すサウジとイスラム原理主義の確執、サウジを巡る米露の軍事的相克、最大の産油国サウジの石油戦略が複雑に絡んだ様相に発展している。反体制者や政敵を排除するために国家の最高レベルが関与したであろうテロは未だ健在で、最近でもマレーシアでの金正男暗殺、イギリスでの亡命ロシア人セルゲイ・スクリパリ襲撃が挙げられるが、中国での孟宏偉国際刑事警察機構(ICPO)総裁の神隠し(粛清?)も国家テロと呼ぶべきかもしれない。
日本でも、民主党政権誕生に暗躍したテレビ朝日元報道局長の椿貞良氏、従軍慰安婦を捏造した朝日新聞元記者の植村隆氏を始めとして、ジャーナリストを装った反体制活動家の存在が見受けられるが、言論封殺の国家テロの標的とされることもなく活動できていることは何と幸せなことだろうか。
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