中国がTPP加入を正式に申請した。
今回の参加申請は、中国包囲網を弱体化若しくは霧散霧消させるために、絶好の攻撃目標に対して絶妙な時期を撞いてきた思いがする。
中国が申請した真意は、TPP加盟国を個別に攻撃するよりも内部に入り込んで無力化する方が中国包囲網の病根を根治できるとの荒療治であろう。
改めてTPP加盟国を眺めると、既に中国が篭絡したASEAN加盟3カ国、G7参加2カ国に豪、ニュージランド、メキシコ、チリ、ペルー、ブルネイであるが、イギリスと台湾が参加の方向であることから、これ以上TPPが強大になることを阻止する意味を込めての加入申請に思える。また、時期的にも、TPP復帰の可能性が捨てきれないアメリカがアフガン失敗の後遺症で余裕が無く、米英豪が新たな安全保障の枠組みを発足させたことに加え、今年の議長国である日本の総裁選・総選挙を牽制するタイミングを測ったものかと見ている。
中国の申請を受けて、オーストラリアはいち早く懸念を表明したものの、アメリカはサキ報道官が局外者としての静観を表明したに留まっている。
Tpp協定はトランプ政権が離脱した後は安倍総理が主導する形で2018年年3月に署名式、同年12月に発効し「アジア太平洋地域における関税、サービス、投資、知的財産、電子商取引、国有企業の規律などの幅広い分野で21世紀型のルールを構築する」ことが理念とされているが、発意したのがアメリカであることから真意は中国デカップリングによる対中包囲網の構築であることは明かである。
中国の現状と理念を対比すれば、中国が何一つとして参加要件を満たしていないことは明かであるにも拘らず、臆面もなく参加申請したことは「参加できれば儲けもの」で、アメリカの復帰牽制、英・台の参加阻止、日本の親中政権実現のいずれかで良しとするものと思っている。さらには、インド・太平洋安定のために東・南シナ海に来航・遊弋している英・仏・独・蘭艦艇の動向とも無縁でないかも知れない。
タイトルを戦略の神髄としたのは、招かれざる宴席にも「理念に賛同した体」を装って平然と乗り込める中国の鉄面皮ぶりであり、近隣諸国の視線を第一に考える日本も見習って欲しいものである。
G7の起点となったG5会議に際して、招待されていない会議場にイタリアが強引に乗り込んでG5をG6に変更し得た「押しかけ女房成功例」があるので先行きは不明であるが、オーストラリアが「申請は参加国の総意で受け付けるべき」としていることをベースに対応するのが妥当なようである。
新総裁の顔ぶれを見る限り、高市氏を除く3候補(野田聖子氏の唐突出馬による1名増)の何れもが腰砕けとなり、トップを走っているともされる河野太郎氏に至っては諸手を挙げて賛同しかねない。
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