もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

中国の作文に思う

2023年02月25日 | 中国

 中国が「ウクライナ危機の政治解決に関する中国の立場」という素晴らしい作文を発表した。

 注目すべきは文中の「互いに歩み寄り、早い時期に直接対話を再開して全面的停戦を目指すべき」という点に尽きるように思う。
 なぜなら、「互いに歩み寄り」は非の無いウクライナにも一定の譲歩を求めるもので、ロシアの主張に沿ったウクライナ東部3州の割譲または分離独立を暗に求めているに過ぎないと思うからである。
 日本でも、ウクライナ事変を外交交渉で解決・終息させるべきとの意見も少なくないが、もし対話・和平交渉が実現したとしても、ロシアが何も得ることなく撤退に合意することは考えられないので、いわゆる「落としどころ」は割譲範囲をどれほどの州にするかという点に絞られると思う。ゼレンスキー政権はロシアに寸土と雖も割譲する意思が無いことや不法占拠されたクリミヤ半島の回復まで明言していることを考えれば、中国の作文はクリミヤ事変の対処を装いつつも、「もし、中国が武力侵攻する場合にあっても、相手国は無益な抵抗はせずに我々の要求を無条件に飲むよう」警告・宣言したと同意に読める。
 また「地域の安全は、軍事グループの強化や拡大で保証することはできない」とも書かれてウクライナ事変でのNATO強化を批判する体を採っているものの、真意は台湾有事における日米の支援に楔する意図を込めているものに読める。
 「各国の主権・独立・領土は適切い保全しなければならない」という部分は、債務の罠・海警部公船の威嚇・中国派出所設置・・・等で他国の主権を公然と脅かしている事実を棚に上げての厚顔無恥の主張とする以上に、南シナ海の諸島、台湾、尖閣は、中国固有の領土であり、適切な手段(軍事力)で保全すると述べているに過ぎないと読むべきではないだろうか。

 国連総会で「ロシアの即時撤退を求める決議」が141ヶ国の賛成で可決されたが、中国は反対はしないものの棄権した。
 一方で、事変解決の具体策や積極的な関与・対応を明記しない名作文を公表したことは、いかなる場面にあっても「幾ばくかの漁夫の利」を掴もうとする中国外交の一端であるように思う。
 ゼレンスキー大統領は、対話拒否を明言する際に「ロシアに通じる言語は武器のみ」と述べたが、鉄面皮の中国や北朝鮮に対しても通じる言語は無い様に思える。
 全ての紛争解決は武力に依らず外交交渉で解決すべきという主張は心地良いが、そう主張する方々は、彼の国々にも通じる万能言語を持っているのだろうか。はたまた、そのような言語があると信じているのだろうか。


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