今年の我が家の夏季電力料金が記憶している例年料金に比べて約3割減となった。
原因を考えてみるに、盛夏気温や電力契約による減少もあるだろうが、最大の原因はエアコンの設定温度や運転時数であるように思う。2~3年前までは概ね25℃以下で使用、時として22~23℃とすることも珍しくなかっが、最近は経産省推奨の28℃で使用することが殆どで、風呂上がり前後に一旦27℃に下げるくらいとなった。また、起きている時間はフル稼働であった運転時間も、奥方様がスイッチを入れるまで休止しているケースも増えたと思っている。
これらのことは、不謹慎なことであるが省エネに協力するという高邁な理由からでなく、単に暑く感じなくなったことに因るようである。
高齢者が屋内や就寝中に熱中症になり、時には死亡する事例を別世界の現象と軽く見ていたが、温度変化に鈍感になるとともに暑さを暑さと感じなくなった自分としては、知らず知らずの熱中症は「今そこにある危機」であるのかも知れない。かっては自分のエアコン設定温度に文句たらたらに耐えて来た奥方様のエアコン設定・管理に、無条件に従うことでしか安全が確保できない現実を認めざるを得なくなったようである。
自衛艦における冷暖房について紹介すると、冷暖房の系統は大まかには「居住区画系統」と「戦闘区画系統」に分けられ、居住区画系統は「人のために」、戦闘区画系統は「機器のため」に機能する。そのため、戦闘区画にあっては夏でも防寒ジャンパで勤務することも珍しくないが、機器のためであれば文句は出ない。しかしながら、居住区系統では系統に連なる区画の大小、配員の多寡、外気熱に晒される外販との関係、等々から様々な苦情・要望が出る。家族間でもエアコン設定温度については侃々諤々の状態が一般的であろうが、多人数の最大公約数を目標に冷暖房の管理を担任する機関長には、個々の苦情等を無視する図太さが要求され、ある暑がりの隊司令が乗艦した例では、度重なる「暑い」にも「私が温度計ですから」と耳を貸さないために「お前の温度計は狂っている」と云われたことがある。それが原因かどうかは不明であるが、隊司令の任期中に艦が司令護衛艦とされることは極端に少なくなった。
形の上では経産省の設定温度を守り、少しではあるが家計の足しになった今夏の電気料金は来夏でも同様か若しくは更に減少するのかも知れないが、それにつれて「知らず知らず熱中症」の危険性も増していくことを覚えておかなければならないようである。老化現象は医療費の増加等に依って家計を圧迫するものと考えてきたが、極まれに経費節減に至る事象が有るようである。
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