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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

英国総選挙を学ぶ

2019年12月08日 | 欧州

 英国総選挙の投票日まで残り1週間となり、激戦の様相が伝えられている。

 与党はEU離脱の是非を争点としているが、最大野党は離脱の是非を直接に問うのではなく国民投票の再実施と医療制度改革を公約としている。最新の世論調査では、与党が最大野党に9ptリードしているが、政治評論家の間でも与党が単独で過半数を制するというものから、与野党のいずれも過半数を制することはできずに現在のような連立・連衡状態(ハング・パーラメント:宙ぶらりん状態)が続くと観るものと様々である。戦況を報道で読んでも良く理解できないので、イギリスの政党と勢力分布を勉強(ウィキペディアの2017年英国総選挙)した。イギリスは日本以上に政党乱立の状態で、下院の議員定数650人(これも多いので、映像で見る議場に入り切るのだろうか?)の内訳をみると、与党系(328人)【保守党(317人)民主統一党(10人)、議長】、野党系(322人)【労働党(262人)、スコットランド国民党(35人)、自由民主党(12人)、シン・フェイン党(7人)、ブライド・カムリ(4人)、イングランド・ウエールズ緑の党(1人)、無所属(1人)】となっており、更には、2017年総選挙で議席を失った政党:3、得票を得た(候補者がいた)政党:31を加えると、政党数は40を超えている。このような乱立状態では、これまで議席を持てなかった北アイルランド独立を主張する政党や、移民排斥を唱える極右政党が急伸する可能性を指摘する向きもある。そのため、最大与党の保守党も移民に対する制限を選挙公約に入れる等、これまで以上に国民の動向を忖度・配慮と云えば聞こえが良いが、断固としてフォークランド諸島を守ったサッチャー時代と様変わりしたポピュリズム政党に堕落したとも指摘されている。イギリスと云えば議会制民主制度の手本とされて来るとともに、英連邦の宗主国として旧植民地からの移民に門戸を開放してきたが、トランプ大統領に倣ってのイギリス本土ファーストに変身するのかもしれない。このような政党乱立を見ると、ナチの脅威からイギリスを救ったチャーチル氏が戦後の安定期になって首相・政界からの退陣を余儀なくされた際の「民主主義はこれまでにあった政治形態で最悪であるが、これに変わるものが見当たらない」という言葉が実感できる。

 振り返って日本の国会を眺めると、日韓・日中(特に、習近平主席の国賓問題)等の喫緊の外交問題を抱えているにも拘らず、お花見問題とシュレッターにかまけて良いのだろうか。内閣支持率もお花見問題の影響か数ポイント低下したが、井戸端会議程度の判断に一喜一憂・右往左往では選良の沽券にかかわるものと思う。野党は刑法に抵触しないだろうとの見方が有力な事象で会期延長まで要求しているが、このような状態が長く続くならば、議員歳費返上を要求したくなる。