ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

怖い漫画を読んだ

2004年09月03日 | 読書
 楳図かずおの『洗礼』文庫本4巻、読了。
なんでこの漫画を今頃読んだかというと、永野潤という人が激賞していたからなのだ。
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/6142/

で、なんでこの人のサイトを見つけたかというと、「ピピのシネマな日々」をはてなアンテナに加えてくださっていることを発見したからなのだ。

永野潤さんは、わたしよりひと世代ほど若い大学教員で、サルトルの研究者だそうな(いまどきサルトル研究者がいるとは思わなかった)。

永野さんが、楳図かずおの『洗礼』が岡崎京子の『ヘルタースケルター』よりずっと怖い傑作だと絶賛されていたので、読んでみたのであった。

その昔、恐怖に震え上がって夜も眠れないほどになりながらも読むのをやめられなかった楳図かずお。

さすがにこの歳で読むと、「怖くてトイレへ行けないから付いてきて~」と家族に泣きつくようなことはないが、やっぱりものすごく怖かった。なによりも絵が怖い、絵が。

そして、よくぞここまで恐ろしげなことを考えつくよなーと感動するほど、ぞっとする悪意。こういう、人の悪意を徹底的に暴くような物語を書ける人って、やっぱりどこか冷酷な人なんじゃないかと思ってしまう。わたしには無理。

いやあ~、それにしてもよかったっす。
楳図かずおって、ただならぬお方。下手な哲学書よりずっと含蓄深い漫画を描きます。