ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「復讐は合法的に」

2024年01月23日 | 書籍関連

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6年付き合った彼氏に手酷く裏切られたOL・中西麻友(なかにし まゆ)が出会ったのは、「合法復讐屋」のエリス。

弁護士資格と法律知識を活かして、麻友の復讐を代行したエリスは、其の後も様々な依頼を熟す妄想染みた依頼から辿り着く、殺人事件の意外な真相とは?法律の通じない権力を持つ相手に、エリスはどう立ち向かうのか?

そして最後のターゲットは、エリスと同じ「復讐屋」。
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第21回(2022年)「『このミステリーがすごい!』大賞」の“隠し玉”に選ばれた小説復讐は合法的に」(著者三日市零さん)は、現代版・必殺仕事人が登場する。「エリスなる人物が“合法復讐者”として、受けた復讐依頼を合法的に行う。」という形式で、4つの短編小説から構成されている。

此の作品、非常に“”が強い主人公のエリスという美女、実は襟須鉄児(えりす てつじ)という名前の男性で、所謂オネエ”。表の顔は弁護士だが、裏の顔は合法復讐者なのだ。そして、エリスが構える事務所で優秀な秘書として働いているメープルは、何と小学4年生の女児。此の組み合わせだけでも癖の強さが判るだろうが、他にもキャラ立ちした人物が次々と登場する。

三日市零さんは此の作品で文壇デビューを果たしたのだが、新人とは思えない筆力有している。エリスとメープルのプロフィールパーソナリティーを“簡潔”に、そして“漏れ無く”紹介しているのも然る事乍ら、(4つの短編集から構成されている事は上記したが)4作品全てで“文章のアプローチ”を変えている事等からも、“手練作家”を思わせる。

「ストーリーが魅力的。」、「登場人物達がキャラ立ちしている。」という2点に於ては、充分合格点が与えられる。だが、問題は「謎解きで、読者に驚きを与えられているか?」だ。

ミステリーでは謎解き、具体的に言えば「真犯人は誰か?」、「動機は何か?」、「トリックは?」等の要素が非常に重要。真犯人に関しては、「最も真犯人では無さそうな人物が、実は真犯人。」というのが普通で、ミステリー好き程、此の視点から真犯人を予想している。そういう視点で読み進めると、少なくともミステリー好きならば、真犯人当てはそう難しく無いだろう。魅力的なストーリー及びキャラ立ちした登場人物達と、非常に新人離れした筆力を感じるだけに、謎解きの弱さが残念でならない。

総合評価は、星3.5個とする。


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