Deacon Street / II (2006)

2006-07-01 08:25:24 | Music > Morse
 
「モース先生が参加しているから」というだけで何の予備知識もなく購入した一枚。ジャケットに書かれたそうそうたるギタリストの名前からかなり濃いギター・アルバムを予想していたのですが、実際にその手のスタイルが聴けるのはラストの "Jason" という曲のみ(彼らが参加している曲もこれだけ)。アルバムはオリジナルが十曲、カヴァーが二曲、インストが二曲という順で構成されており、オリジナル曲以外はボートラ的扱いかもしれません。

予想とはかなり異なるサウンドでしたが、実はこれがなかなかいい感じのメロディック・ロックで、ちょっとした掘り出し物を見つけた気分になりました。Deacon Street は Tommy Denander なるスウェーデン人ギタリストの AOR プロジェクトで本作が二作目になるそうです。各曲のヴォーカルは本人を含めた総勢八人で分け合っていますが、バックはほぼ固定された布陣なのでアルバムの統一感は損なわれていません。

ソフィスティケイトされた AOR 寄りのサウンドは時折メロハーの香りも漂わせ、オープニングの "Beautiful Chardaine" から爽やかな風を運んでくれます。Journey や Toto、最近の Chicago が好きな人にもお薦めですね。"Leann" なんか Fergie に歌わせたらモロ "Isolation" アルバムのサウンドだもん(笑)。"The Promise Of Forever" や "I Give This Promise" といったちょっぴり Backstreet Boys っぽいバラードもお気に入り。"(Kill Us) On Another Day" は "Images And Words" の頃の Dream Theater をほんのりと感じさせるサウンド。ヴォーカルの唄い回しも何となく James Labrie っぽいしね。ところでタイトルまで似ているのはご愛嬌?(笑) "Action" はハード・ポップ・バンド Sweet が残した名曲で Def Leppard も取り上げていましたね。他にも多くのバンドがカヴァーしていますが、個人的にはトリッキーなギターが満載の Steve Stevens ヴァージョンが「サイコー!」とか思っているので、機会があったらこちらも聴いてくださいませ(笑)。Deacon Street 版は Joe Elliott ほど個性的な声でもなく、Steve Stevens ほどギターが目立っているわけでもなく、仕上がりとしては普通といった感じかな(笑)。ちなみにもう一曲のカヴァーは Kiss の "Easy As It Seems" です。アルバムを通して一撃必殺のキラーチューンはなかったのですが、その他のオリジナル曲も平均点以上の出来で「好盤」といってもいい一枚だと思います。

さて、本作の目玉?である先生(その他大勢)参加の "Jason" ですが、正直微妙です(笑)。先生のプレイだけが目当てなら近年稀に見る失望系かも・・・(プレイ内容云々ではありません)。最初から最後まで入れ替わり立ち替わり続くギター・ソロは興味のない方にとっては退屈極まりなく感じられるでしょう。かといってバトルというほど熱いプレイをしているわけでもなく、煮え切らない中途半端なフレーズが多いので、ギタリストの立場からしてもあまり感動がありません。でもいいんです、そんなことは。好きなギタリストが美味しいフレーズを披露してくれさえすれば! 先生のパートは 2:16-2:31 の15秒ほど。軽いタッピングから入り、その後はやや流し気味のクロマティックラインが聞けるのみ・・・。短!!!

気を取り直して他の参加ギタリストを挙げておきますね(笑)。Jeff Watson, Reb Beach, Marty Friedman, Bruce Gaitsch、そして意外な人選 Christopher Cross です。まあ Christopher はもともとハード・ロッカーですし、Chris Geppert 時代には地元テキサスで行われた Deep Purple の公演で、体調を崩した Richie に替わりステージに立ったこともあるという方ですから・・・(Eric Johnson 談)。ちなみに個人的に一番ニヤっとしたプレイは懐かしの演歌フレーズが飛び出す Marty のソロでした。ちょっぴりファーストを思い出しちゃいましたよ(笑)。

そういえばこの曲、Jason Becker へのトリビュートなんでしょうかね。親友の Marty も参加していますし、ちょっと気になります。・・・とかなんとか書いてる間に Tommy の参加アルバムを調べていたら Jason Becker のトリビュート・アルバムがあったので間違いなさそう。しかも持っているアルバムも結構あるし(笑)。

とにかくアルバムのクォリティが低ければ撃沈するところでした(笑)。メロディック・ロックとしての魅力を感じることができる方は聴いて損はないと思います。先生のプレイ以外に興味はないという方は・・・財布と相談してください(笑)。


Tommy Denander Official Website:
http://www.tommy-denander.com/


"II" アルバム試聴
http://www.nehrecords.com/shop/DeaconII.htm


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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
KISS (YUZI)
2006-07-01 11:21:43
KISSのカヴァーが入ってるんですか!

それは気になります!

買いたくなってきました。

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DT・・っぽい・・ (elmar35)
2006-07-01 21:03:47
気になるフレーズですね。

チェックしてみます。(謝)
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>YUZI さん! (gw)
2006-07-02 08:00:47
こんにちは!



僕はオリジナルの方が未聴だったのでネット試聴してみたんですが、結構オリジナルに近いヴァージョンだと思います。サウンドは80年代って感じですね。
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>elmar35 さん! (gw)
2006-07-02 08:08:45
こんにちは!



DT っぽく感じられたのは "(Kill Us) On Another Day" という曲だけなので取り扱い注意です(笑)。



記事を書いたときは試聴サイトが見つからなかったのですが、ちょっと粘ってみたらありました!



http://www.nehrecords.com/shop/DeaconII.htm

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Unknown (noblame)
2006-07-02 22:26:19
このアルバム、私もAOR Heavenでオーダーして、手元にくるのを待ってます。1stがなかなか良い出来で気に入ってました。gwさんの記事を読む限り、前作と大きなズレはなさそうなんで楽しみです。
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おおっ (sorapapa)
2006-07-02 23:45:53
これは知りませんでした。

先生はねえ、基本的に雑な客演はないんだけど、手癖で流しちゃう時がたまにありますよね。

ジェイソンベッカートリビュートとかピンクフロイドトリビュートのプレイは、かなり微妙でした、、、とほほ。

今回もそんな感じでしょうかねえ?

そうそうクリストファークロスは良いギター弾きますよね。

一度渋谷のduoでかなり間近で生をみたんで彼のギターは意外に買いだと思ってますです。流麗でしたからね、ホントに。
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そうそう (sorapapa)
2006-07-02 23:49:13
SWEETの超名曲「ACTION」はオリジナルもぜひに!アンディー・スコットの切れ味鋭いギターとコーラスの嵐が気持ち良いですよ!アルバムもかなり高品質なんでめちゃオススメです。TBさせてもらっちまいますね。
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>noblame さん! (gw)
2006-07-03 19:46:04
こんにちは!



Deacon Street って AOR/メロディック・ロック・ファンにはマスト系だったんですね。ネット検索でデビュー作のレビューをたくさん見かけました。僕にとっては思わぬ掘り出し物でした(笑)。1st もチェックしてみようかなぁ。
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>sorapapa さん! (gw)
2006-07-03 19:51:53
こんにちは!



先生のプレイ、本当に一瞬で終わっちゃいますから(笑)。Jason トリビュートなみにサムイです(笑)。呼んだ以上もっとフィーチャーしてくれ!って言いたいっす(笑)。



何人ものプレーヤーが代わる代わるソロをとるタイプの曲ってどうしても中途半端ですよね。ゲストには一曲一人で丁寧に弾いてもらいたいなぁ・・・。



Sweet のオリジナルは未聴なんで気になります。

あ~、あれも聴きたい、これも聴きたい・・・(爆)
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Unknown (まっしゅ)
2006-07-07 23:22:22
お久しぶりです~。



確かに大勢のギタリストが集まるのって本当に微妙ですよね~。あっ、この音は誰々だ!って分かっても一瞬ですから^^;

Christopher Crossのリッチー代役が一番ビックリです…/失礼。もう一人、確かランディ・カリフォルニア(違ったかな?)もリッチー代役をしたという話がありましたよね。

BSBっぽいバラードというのが妙に気になるので安く見かけたら購入を考えます♪
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