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Booklog - ghostwind の本棚

2007-04-23 01:21:54 | Books
 
出来れば、読んだ本はすべて「読書メモ」としてブログに書き残しておきたいと思っているのですが、週二三冊のペースでこなしていく自信などなく、かといって読みっぱなしにしておくもの芸がないなぁとちょっぴり悩んでおりました(笑)。そんな折、ネット上にバーチャルな本棚を作ることができるサイトがあったことを思い出しまして、僅かな記憶を頼りに見つけたのがこの Booklog というサービスです。

正直、現状でも似たようなことはできると思うのですが、読んだ本を登録していくだけの作業は、記事として公開しているブログと分けておきたかったんです。Booklog では特にレヴューは付けていませんし、今のところ読書履歴以上の意味合いを持たせるつもりはありません。書きたいことがあれば、今まで通り、ブログの記事としてアップしていこうと思っています。そういった点では、個人でひっそりとやっても良かったのですが、何かしら話題を共有できたらという思いもあり、公開することにしました。

Booklog が持つ面白い機能として、書籍の紹介ページにその本を登録しているユーザの一覧が表示されることが挙げられます。リンクを辿ることで他のユーザのレヴューを読むことができますし、新たに興味をひく本が見つかるかもしれません。僕もたまにそんなユーザの方々をハシゴし、ぶらりと本探しの旅に出ることがあります(笑)。機能の更新が停滞しているのは残念ですが(放置に近いのかな?)、現在の利用目的からすれば、さして不便は感じません。

僕の本棚といえば、単なる好奇心だけで読み漁っている書がほとんどで、統一性に欠けるタイトルはお恥ずかしい限りですが、ピンと来る一冊などありましたら、遠慮なく話し掛けてくださいませ。現在 Booklog はコメント投稿の機能が実装されていないため、こちらに書き込んでいただいて構いません。

読了した書籍は出来るだけ Booklog に追加していくつもりです。それゆえブログで取り上げる本の記事もおそらくこの本棚から引き抜いてくることになると思います。でもこれって、ある種のネタバレですよね(笑)。


P.S. 左サイドバーにも Booklog のリンクを設けました。


Booklog:
http://booklog.jp

ghostwind's Booklog:
http://booklog.jp/users/ghostwind

バルセロナにおいでよ / 外尾悦郎

2007-04-22 10:44:52 | Books
 
サグラダファミリア主任彫刻家としてバルセロナで生活する外尾悦郎氏が、等身大のバルセロナを語ったガイドブック。バルセロナ・オリンピックを二年後に控えた1990年に刊行されました。旅行者向けの一般的なガイドブックとは異なり、彼が肌で感じた身近なバルセロナを遊び心たっぷりに紹介してくれます。惜しむらくは、その情報がいささか古すぎること。ガイドブックとしての実用性は正直低いだろうと言わざるを得ませんが、バルセロナの空気を味わう読み物としては面白い一冊だと思います。



アテレコあれこれ / 額田やえ子

2007-04-07 15:48:59 | Books
 
「アテレコ」とはすなわち「吹き替え」のこと。映画やドラマの世界では、後から台詞だけを録音することを「アフレコ(アフター・レコーディング)」と呼びますが、アテレコはこれをもじったもので、外国映画の日本語版を作成する際、原版の映像に合わせて吹き替えの台詞を当てることから、この名が付いたそうです。今ではほとんど耳にしなくなりましたが、古い時代を知っている人にとっては懐かしい言葉のひとつかもしれませんね。

著者の額田やえ子さんはそんなアテレコの世界に身を置き、吹き替え用台本の執筆を手掛けてきた翻訳家です。草分け的存在として数多くの外国映画や海外ドラマの日本語版を世に送り出してきました。かの名作テレビドラマ「刑事コロンボ」で「マイ・ワイフ」という原文に「うちのカミさん」という翻訳を当てた人といえば、少しはその功績がわかってもらえるでしょうか。まさに「小池コロンボ」のイメージを決定付けた名訳ですよね(シリーズ開始時は別の翻訳者が担当しており、そのときは普通に「女房」と訳されていたそうです)。その他、古くは「コンバット」や「逃亡者」から、「刑事コジャック」、「マイアミ・バイス」、「ジェシカおばさんの事件簿」、「シャーロック・ホームズの冒険」など、手掛けた作品は有名どころがずらりと並びます。字幕翻訳の大家が戸田奈津子さんならば、吹き替え翻訳のそれは額田さんと言えるでしょうね。

本書は学生時代から読もう読もうと思っていながら、今まで先延ばしになっていた一冊。このところ読書熱が再燃しているので、その勢いに乗って借りてきました(笑)。初版(単行本)が出たのは1979年、文庫化の際に加筆訂正が行われましたが、それでも1989年。業界の舞台裏としては、いささか古さを感じる部分もありますが、試行錯誤しながら築かれた独自の翻訳技術はアテレコに興味のある方なら一読の価値ありです。また著者の生い立ちと共に語られる "昭和" という時代。戦後復興期を生きた者でなくとも、映画という存在が今以上に特別なものであったことが伝わってくるのではないでしょうか。喜怒哀楽が織り交ぜられた語り口も軽妙で、著者の人間味溢れる人柄が感じられる珠玉のエッセイ集です。

僕自身、映画は基本的に原語+字幕で見ますが、実は吹き替え版もかなり好きです(まあこんな本を読むくらいですからねぇ)。映画ファンの中には吹き替えを苦手とする人が多いことは知っています。ただ僕にとってはどちらがいいという問題ではなく、それぞれの楽しみ方があるというだけなんですよね。ジャッキー・チェンの声は本人よりも石丸博也さんの方がしっくりくると思っている人は少なくないのではないでしょうか。そういったハマり役も楽しみのひとつです。吹き替え声優さんに詳しくなってくると、新しくドラマが始まるたびに、キャストの妙を味わったりして、一人ほくそ笑んだりもします。吹き替え声優陣のチェックは音楽ファンがアルバムのクレジットをチェックするようなものだと思ってください(笑)。広川太一郎、池田昌子、中村正、大塚周夫、熊倉一雄、といった大御所はもちろん、池田秀一、安原義人、江原正士、山寺宏一、堀内賢雄らの世代も大好き。ケビン・コスナーの津嘉山正種、マイケル・ダグラスの小川真司など、お気に入りのハマり役を探すのも楽しいですね。自称吹き替えマニアの僕にとって、声優さんは「姿なき映画俳優」という存在なんです。

P.S. 今回、この記事を書くにあたり、著者の額田さんが 2002年にこの世を去られていたことを知りました。心からご冥福をお祈りいたします。




図解 コンパクトディスク読本

2007-04-01 02:31:39 | Books
 
普段よく読むネット記事のひとつにインプレスの AV Watch で連載されている「藤本健の Digital Audio Laboratory」というコーナーがあります。オーディオ関連の用語を検索しているとよくヒットするサイトなんですが、先日バックナンバー記事を読んでいたら、本書のことが紹介されていまして、今まで曖昧にしていたコンパクトディスクの技術について、もう少し詳しく知っておくのもいいかなと思い、読んでみることにしました。

実際に手に取るまでは気付かなかったのですが、中身は大学や専門学校などの講義で使われる教科書のような感じです。もう少し軽い読み物とばかり思っていたので、これにはちょっと苦笑い・・・。よく見ると、出版社は理工学専門書やコンピュータ関連書で知られるオーム社だったんですね。

本書は技術者向けの入門書として有名な一冊らしく、図説にとどまらず、回路の専門用語や数式なども遠慮なく出てきます。基礎的な技術の解説をベースにしてはいるものの、理工学系の知識がないと読み進めるのは困難でしょう。僕も一応、理工系の出身で現在も半導体業界に身を置いていますが、今回はそこまでの意思がなかったこともあり、数式はほとんど読み飛ばしてしまいました(笑)。一般の人が概念だけを理解する用途には向いていませんが、ネットで得られる知識だけでは飽き足らないという方には読み応えのある一冊だと思います。



ガウディの伝言 / 外尾悦郎

2007-03-31 14:10:36 | Books
 
サグラダ・ファミリア主任彫刻家。それが本書の著者である外尾悦郎氏の肩書きです。2000年、同氏が十五体の天使像を彫り終えたことで「生誕の門」が完成。日本でもテレビや新聞、雑誌などのメディアがこぞってこの話題を取り上げました。一躍 "時の人" となった彼は、翌年、「違いがわかる男」のキャッチコピーで有名なネスカフェの CM に出演します(現在は「違いを楽しむ人」)。「親愛なるガウディ様」から始まるそのセリフは、ガウディという建築家の名を世間に広く知らしめることになりました。同胞の民として世界を舞台に活躍している外尾氏の姿は誇らしく、多くの日本人が共感を覚えたことでしょう。

ガウディが遺した数々の建築物、その魅力や隠されたメッセージとは何なのか。本書の前半では著者自身の経験や発見をもとに(時には仮説も交えながら)、これらをじっくりと紐解いていきます。決して専門的な話に偏らず、平易な言葉でまとめられた文章は、僕のような建築に無学な読者にも理解できるようにとの配慮からでしょう。新書という性格上、写真資料は少なめですが、視覚的なイメージが湧きやすい描写は非常に助けとなりました。後半はガウディの生涯を辿ることで、彼の人物像への接近を試みます。生前のエピソードについては北川圭子氏の著書「ガウディの奇跡」が詳しいですが、伝記という形をとっているため、著者の主観性が直接文章に表れてくることはありません。その点、本書では著者の思想や哲学が盛り込まれたガウディ論が展開されており、前掲書とは異なる新鮮さを味わいながら、読み進めることができました。

人々が大聖堂に抱く最大の関心事と言えば「サグラダ・ファミリアはいつ完成するのか?」に尽きるでしょう。外尾氏も人に会えば必ず訊かれる質問であると述べています。このロマン溢れる問い掛けに対し、冒頭では若干お茶を濁した回答をしている著者ですが、実は最終章において、現在の建築手法や作業状況から推測される竣工時期が具体的な年代として明かされています。詳しくは本書を読んでいただくとして、ガウディ亡き後のサグラダ・ファミリア、そしてガウディの遺志を継ぐものたちの挫折、苦悩、葛藤、衝突、希望、努力、それらが凝縮された最終章は短いながらも非常に読み応えのある内容でした。エピローグと共に本書の中で「サグラダ・ファミリア主任彫刻家 外尾悦郎」を最も感じることができる部分だと思います。いつかまた、この辺りを掘り下げた話が本となり、世に出ることを望んでいます。



ガウディの奇跡

2007-03-23 00:09:44 | Books
 
僕が初めてガウディの名前を聞いたのは今から遡ること数年前、ビートたけしこと北野武がサグラダ・ファミリアで働く日本人彫刻家を尋ねるというテレビのスペシャル番組でのこと。このときはまだ、着工からすでに100年以上が過ぎ、竣工にもまた100年以上かかるというこの大聖堂のことなどまったく知らず、時空を超越したあまりにスケールの大きな物話にただただ唖然とするばかりでした。荘厳かつ独創的なデザインから放たれる圧倒的な存在感、その裏に隠された壮大なロマン、脈々と受け継がれるガウディの遺志、それらが多くの人々を魅了して止まないことはブラウン管越しにも十分伝わってきました。無論、僕もその中の一人であることに変わりはないのですが、なお一層のこと好奇心を駆り立てたものはそれらとはまた別のところにあったんです・・・。

本書はサグラダ・ファミリアの建築家として後世に名を残すことになるアントニオ・ガウディの生涯を綴った物語。この世に生を受けてから天命を全うするまでの彼の姿を克明に描いた評伝です。ガウディ関連の書物を多く手掛ける著者は建築の専門家でもありますが、本書ではあえてその切り口を避け、ガウディや彼を取り巻く人々の人物像を掘り下げることに徹しています。会話を多く盛り込んだ文章はリアリティに溢れ(一部著者の脚色もあるでしょうが)、まるでタイムマシンで過去に遡り、その場に居合わせているかのような錯覚に陥ります。全278ページ、駆け足で追い掛けるガウディの一生ですが、何にも増して彼の純粋な心が印象的で、非常に胸が熱くなる一冊でした。いつの日かバルセロナの街に立ち、この目で本物のサグラダ・ファミリアを見てみたいものです。

本書を読むに至ったのはある種、偶然の重なりでした。とある本屋でいつものように何気なく棚を眺めていたときのことです。普段からインスピレーションだけを頼りに本を探すというのはよくやることですが、そのとき一冊の本に目が留まりました。瞬間、背表紙に書かれていた「ガウディ」という文字が僕の中にあった「サグラダ・ファミリア」のかすかな記憶に結びつきました。早速手に取ってバラバラとめくってみると建築の「ケ」の字も知らない僕でも読みやすそうな本ではないですか。今すぐにでも買って読みたいという衝動に駆られましたが、まずは図書館の蔵書を調べてからにしようとそのときは本を手にすることなく店を後にしました。それから数ヶ月経ったある日、ふと「ガウディ」のことが頭を過ぎりました。悲しいかな、あの日、帰宅したときにはすっかり蔵書検索のことを忘れていたんですね(笑)。思い出したように図書館で予約をした僕は、ほどなくして本書を手にし、今こうやってブログに記事を書いているわけです(ついストーリー仕立てにしてしまうのは僕の性分ですが、こういう話って単にいい加減な自分をさらけ出しているだけですよねぇ・・・笑)。

建築に興味があるわけもなく、特別な信仰心を持ち合わせているわけでも無い僕が関連書籍を一冊読んだくらいでガウディに関して何かを語ろうなどとは思ってもいません。ただガウディをはじめ、サグラダ・ファミリアの建築に関わる人々が、なぜ決して完成形を見ることができないとわかっているものに対して、どうしてこれほどまで人生を賭けることができるのか、僕にはその正体が気になってならないのです。これは単なる好奇心なのかもしれませんし、それ以上のものかもしれません。いずれにせよ、この核心に迫ることは自分にとって大きな意味があるように思えます。数多くの回り道をしなければ辿り着くことのできない答えなのかもしれませんが、ホンの小さな手掛かりでもいいから見つけたいという思いです(笑)。ちなみに冒頭で触れた日本人彫刻家外尾悦郎氏も「ガウディの伝言」という著書を出版しており、こちらも是非読んでみたい一冊ですね。



「捨てる!」快適生活

2007-03-07 06:18:20 | Books
 
正直言うと全然期待していなかったんですよ。でも目からウロコの一冊でした。さすが「収納カウンセラー」という肩書を持つ方が書いただけのことはあります(笑)。モノに対する人の心理というものをよく分析し、そして理解していると感じました。心の中で思っていることをズバリと言い当てられた気分です。「いつか使うかもしれない」、「思い出として残しておきたい」、「義理があって捨てられない」など、モノを処分できない理由は様々あると思います。しかし考え方一つで心を楽にすることができるんだということを本書は教えてくれます。ある種、啓蒙的ではあるんですが、押し付けがましいところは一切無いので、構えることなく読み進めることができますよ。表紙を見てもわかるとおり、購買層は主婦をターゲットにしているようですし、決して小難しい類の書ではありませんからご心配なく(笑)。

僕自身、特に心に残っているのは、要らなくなったモノの引き取り先を探すのは再利用して欲しいという気持ちがある反面、モノを捨てる罪悪感から逃れたいためであり、結局は「捨てる辛さのたらいまわし」をしているに過ぎないという指摘ですね。これにはグサリときました。言われてみれば、そういうところあるかもです・・・。

整理とはテクニックではなく、すべてはその人の人生観、価値観がそこに表れてくるということなんですよね。整理という概念について根本から考え方を改めさせてくれる一冊でした。個人的にはかなりのお薦めですね!



FBI 超能力捜査官 ジョー・マクモニーグル

2007-03-06 00:04:43 | Books
 
「遠隔透視を信じるか?」と問われれば「否定はしない」と答えるだろう。ちょっぴり卑怯な言い回しかもしれないが、真偽を判断するほどの情報や意見は持ち合わせていないし、現時点でその必要性に迫られてもいない。

ジョー・マクモニーグルは物理的に隔離された場所にある人や物を透視する能力を持った人物である。日本でも彼が出演する「FBI 超能力捜査官」というスペシャル番組が何度も放映されているからご存知の方も多いだろう。本書はそんな彼が自身の半生を語った自伝であり、遠隔透視という能力を持つに至った経緯が生い立ちから細かく書かれている。第三者が遠隔透視者マクモニーグルについて、面白おかしく書きたてたものではないことをお断りしておく。

遠隔透視は超能力の一つとして位置づけられているため、どうしてもその話題は肯定派と否定派の意見の対立になってしまう。僕自身は興味の対象には偏見無く触れたいという気持ちがあるので、どちらにも属するつもりは無い。その方が遠隔透視の結果をすんなりと受け入れられるし、気負い無く楽しめるからだ。仮に騙されているとしても大して気にならない(笑)。例えば肉親探しの依頼が成功したとしよう。依頼者にとって重要なのは過程ではなく結果である。つまり遠隔透視がホンモノかインチキかなどは二の次で、番組スタッフが地道に探し出した答えであってもその価値は変わらないということだ。僕は常に第三者の立場であり(マクモニーグル氏に依頼したくなることが出てきたら話は別だが・・・笑)、その結果と利害関係が生じることはない。別段冷めているというのではなく、自分自身をニュートラルな位置に置くのが好きなだけである(笑)。

最近、某ヤラセ番組の愚行が世間を賑わしているが、酌量の余地など無い馬鹿げたことだ。視聴者は大いに憤慨して然るべきだろう。ただその反面、情報に躍らされないようにすることも自衛の意味で大切だと思う。何でもかんでも鵜呑みにし、何か事が起きてから責任の所在を追及したからといって、今更元に戻らないこともたくさんあるはずだ。信じる心、疑う心、どちらに大きく振れても良い結果は得られない。バランスよく物事を見極めることが重要だと思う。そして可愛いインチキなら軽く受け流すくらいの気持ちでいたほうが人生は楽しめる(笑)。

話を戻すが、本書では遠隔透視に関する研究の成果ではなく、期せずして特殊な能力を身に付けてしまった一人の人間の心の内が克明に描かれている。そういった意味では超能力の真偽にこだわらない読み方をしたほうが得られるものがあるのではないだろうか。他人の生き方というものは何かしら自分に影響を与えるものである。


※ 邦題は一昔前のベストセラー「FBI 心理分析官」に似ていますが、原題は "The Stargate Chronicles" です。



東儀秀樹のもう一つの旅 ―南仏の光と風―

2007-02-20 00:30:49 | Books
 
今年に入って何冊か読んだ東儀秀樹氏の著書のうちの一つ。今回は南フランスの旅を題材にした紀行文です。少年のような好奇心に満ちた東儀さんが旅先で様々なものに出会い、その感性に大いなる刺激を受ける様が手に取るように伝わってくる一冊です。著者の人柄を思わせるふんわりとした文章は読者の旅の疑似体験を心地良いものにしてくれるでしょう。また随所に挿まれる南フランスの風景や街並み、そして人々を捉えた数多くの美しい写真は本書により一層のリアリティを与えています。東儀氏の内面に迫った話はほとんど出てきませんが、ここぞというところで前向きであることの大切さを説くあたり、彼の人生哲学を感じずにはいられません。



青春を山に賭けて / 植村直己

2007-02-18 00:42:14 | Books
 
野口健氏の著作を読んで、彼の人生を変えたという座右の書を読んでみたくなりました。本書は世界的に有名な冒険家である植村直己さんの青春時代を綴った自伝で、明治大学山岳部の入部に始まり、20代の彼が経験した数々の冒険について描かれています。中心となるのは世界で初めて五大陸最高峰を制覇するまでの話で、マッキンリーの登頂でこの偉業を成し遂げたとき、僕はまだこの世に生まれていませんでした・・・。

とにかく常軌を逸したスケールの物語であり、こんなに生命力に溢れた生き方をしていた人が実在したなんて信じられないくらいです。彼のような生き方を真似できるとは思いませんが、彼の真摯な人柄や人生哲学から多くのものを学ばせてもらった気がします。



ぐちゃぐちゃデスクのシンプル整理術

2007-02-15 00:10:57 | Books
 
ハイ、僕は物をなかなか捨てられないタイプの人間です(笑)。つい「勿体ない」とか「いつか必要になるかも」という思いが頭を支配してしまうんですよ。よく言えば「物持ちがいい」なんでしょうけれど、あまりの捨てられなさに最近では物を買うのを控えるようになりました(笑)。そんな僕ですから部屋を整理しようとしても全然捗らないんですよね。昔のものが出てきて、ちょっとでも懐かしさを感じてしまったらアウト。ノスタルジックな気分に浸ったまま、時間だけが過ぎていきます。結局、大して捨てるものも見つからず、今度いつ開けるともわからないダンボールが山積みです(笑)。こういうのは性格的なものですから、オフィスのデスクでもやはり同じこと。最初はシンプルで綺麗なんですけれど、段々と物が増え続けていき、いつの間にかシンプルとは対極の世界に様変わりしていきます(笑)。

というわけで読んでみようと思い立ったのが本書です。いきなり整理の達人になれるとは思っていませんが、何かしらのキッカケになれば幸いですね。なるほどと思えるテクニックもいくつか学んだので上手く実践していけたらいいなぁ(笑)。

P.S. いかにも欧米的なイラストが可愛らしいです(笑)。



だれが「音楽」を殺すのか?

2007-02-12 01:37:26 | Books
 
何年か前に「輸入盤が買えなくなるかも知れない」という話があったことを覚えているでしょうか。アジアから逆輸入される邦楽の還流盤を防ぐ目的で発案された「輸入権」というものが通常の輸入盤にも適用される恐れがあるということで論議を醸し出したあの事件です。今となってはその話題も風化しつつあるようですが、聞きかじった程度のあいまいな知識しか持っていなかった僕にとって、この本で語られている事件の詳細は非常に興味深いものでした。

本書では「レコード輸入権」、「CCCD」、「違法コピーとファイル交換」、「音楽配信サービス」と大きく四つの章に分けて、音楽好きなら何かと気になる話題について深く掘り下げています。個人的には CCCD の存在がアーティストやレコード会社にどういう変化を引き起こしたのか、その辺りの話が面白かったですね。また「違法コピー」や「ファイル交換」といっても決してアングラ的な内容ではなく、それらが日本の音楽シーンに与えてきた影響を極力中立的な観点から述べています。

「好きな音楽は着うたで十分」といったライト・リスナーの方にはさほど興味の沸かない内容かもしれませんが、大小問わず音楽に何かしらのポリシーを抱いて聴いているヘヴィ・リスナーの方には色々と役立つ情報や知識が詰まった一冊だと思います。勉強になりますよ!(笑)



落ちこぼれてエベレスト / 野口健

2007-01-28 11:06:14 | Books
 
本書は25才という若さで七大陸の最高峰を制し、世界最年少登頂を達成したアルピニスト野口健が波乱万丈の半生を語った自伝である。著者が人生に落ちこぼれ、自分自身を見失いかけていた若き日、一冊の本と出合うことから人生が大きく変わっていくことになる。世界に誇る冒険家、植村直己の「青春を山に賭けて」がそれであった・・・。

正直読んでいて胸が熱くなった。「誰のためでもない、自分のため」と言い聞かせ、「生きてやるんだ」と自身を鼓舞し、弱い自分と決別するために必死に生きている姿が克明に描かれているのである。自らの人生に終止符を打つ若者たちがニュースで取り沙汰される今の世の中、偉そうに正論ばかり並べている教育論者より、この本のほうがよっぽど説得力があるんじゃないかと思う。

「成功ばかりしている人の言うことには、真実味がない。失敗もしている人の言葉の方が信頼できる。」

僕が本書を読んでいて感じたこととまったく同じことを野口氏はこの本のなかで言っていた。数多くの失敗を経験した者だからこその本音だと思う。もし自分自身の存在意義に迷いや疑問を感じている人がいたら、是非この本を読んでみてほしい。這い上がるために必要なのはホンの小さなキッカケと後押しである。本書は自分の中にある小さな勇気の存在をきっと気付かせてくれるだろう。植村さんの本が野口氏の人生を変えたように、本書によって未来が大きく変わる若者がきっと出てくるに違いない。

僕のほうが野口氏より先に人生をスタートさせたはずなのに、いつしか僕の目に映るのは彼の背中だった・・・。


P.S. 彼のことをまだよく知らない頃、僕より五つくらい年上の方だとずっと思っていました(笑)。



パラダイス・ロスト / 久石譲

2007-01-09 00:01:55 | Books
 
アーティストというもの、時には本業を離れ、クリエイティヴな感性にさらなる磨きを掛けたくなるものなのでしょうか。本書は作曲家として有名な久石譲氏が「エスクァイア」誌で連載していた小説を単行本化したものです(1994年刊)。物書きとしては 1992年の「I am~遥かなる音楽の道へ」に続いて二作目となります。

主人公の Ryo は映画のサントラや CM 曲などを手掛ける音楽家。作曲やレコーディングのため、日本と海外を行き来する多忙な日々を過ごしています。Ryo のキャラクタ設定は久石自身を強く連想させるもので、至るところに本職にまつわる話が出てきます。そのリアルさは一瞬ノンフィクションかと錯覚してしまうくらいです(笑)。冒頭からしばらくの間、そんな Ryo のワークスタイルについて細かな描写が続くのですが、バリ島で出会った一人の女性をキッカケに物語は少しずつ動き出します・・・。

正直、小説の面白さとしてはまだまだ本業に及ばずといったところでしょうか。特に序盤は本筋と直接関係のない話がほとんどですし、実際ストーリーに必要な部分だけを抜き出したなら短篇の尺で納まる内容です。とはいえ、その一見無用に思える話こそ、久石氏が主人公の口を借りて自らを語りたかった部分なのかもしれません。またファンならば「タレントとしても有名な某監督」や「タスマニア物語」をもじった「オーストラリア物語」など、久石氏の遊び心があちこちに散りばめられていることに気付くでしょう(笑)。そういったニヤリとする記述を見つけるのも一つの楽しみ方かもしれませんね。




東儀秀樹の永遠のオモチャ箱

2007-01-07 00:00:26 | Books
 
雅楽演奏家としてだけでなく人としても強く興味をひかれる東儀秀樹氏。彼の人並み外れた好奇心には感嘆せずにはいられません。溢れんばかりのバイタリティ、徹底した行動力はいつも僕の感性に刺激を与えてくれます。聴くたびに、読むたびに、見るたびに、感性の波長の重なりを感じつつもその振幅には大きな差を感じ、僕自身まだまだ増幅させる必要があると気付かせてくれる人物の一人です。

本書はそんな東儀氏の心をくすぐった様々な「モノ」についてのエッセイ集です。1997年から 2003年にかけて「MILLION」誌、「NEO」誌で連載していたものをまとめたものです。バイクが好き、時計が好き、カメラが好き、オーディオが好き、絵画が好き、海が好き、旅が好き、そして音楽が好き。それは形あるものからそうでないものまで多岐にわたり、彼の人生の幅広さ、豊かな感性を物語っています(それでもまだホンの一部とのこと)。確かにこれだけのものに接することが出来た背景には育ちの良さもあると思いますが、彼のいう「イイモノ」とは(結果的にそうなったとしても)決して高価なものやレアなものだから価値があるというわけではなく、どれだけ大切な想い出が詰まっているか、どれだけ心に語りかけてきたか、そういう物欲とは対極に位置する価値観で見定められたものばかりなんですよね。そしてそんな彼の琴線に触れることができた「モノ」たちは、すべて平等に彼のオモチャ箱にしまわれる資格を与えられるのです。だからでしょうか、どの話も彼のわくわく感や「モノ」に対する愛情が感じられ、読んでいるこちらまで幸せな気分になってきます。また幼少の頃から絵に親しんでいたという氏自身による水彩画の挿絵も彼の人柄が表れていてステキです。本エッセイをキッカケに美術館で作品が展示されたり、絵本の挿絵の仕事まで舞い込んだという話ですから、これも一見の価値ありですよ。

好奇心を原動力として生きているような人たちに是非一度読んでもらいたい一冊ですね。僕自身がこの本から感じた懐かしくも不思議な感覚を同じように味わってもらえるんじゃないかなって思うんです(笑)。

P.S. 実はこの記事を書き終わった後になるんですが、妻の実家の近くにある神社へ家族で初詣に行きました。何ともタイムリーな話、今年はそこで雅楽の生演奏を耳にすることができたんです。小さな神社への参拝ということでイベントなどは期待していませんでしたから、これは思わぬサプライズでした(笑)。三人の楽師が奏でる笙、篳篥、竜笛の音色はその厳かなる儀式と相まって独特の雰囲気を演出しており、つい僕の心はそちらへ惹きつけられてしまいました(笑)。いつか自分でも演奏してみたいと思う今日この頃です。