SMEI / ドラベ症候群 / 重症乳児ミオクロニーてんかん について

SMEIの診断を受けた長男に関連して調べたことたち

長期予後(死亡原因)について

2014年01月25日 | 一般情報・疫学・レビューなど

ドラベ症候群はてんかん患者において死亡率が最も高い疾患であり、どの年代でも死亡することがある(特に幼少期に頻度が高い)。
てんかんによる疾患について検討した過去の論文では疾患名の定義があいまいで、稀な疾患であるドラベ症候群は個別に検討されていない。
同様に疫学的にドラベ症候群の死亡率について検討した情報も少ないが、前向き調査はひとつ報告がある。

1982年から2001年までの文献をまとめた報告(Dravet C, Adv Neurol. 2005)では、26の死亡例から推定される世界全体での死亡率は約17.5%。
原因は42.3%にあたる11人がてんかん発作による死亡、15.4%にあたる4人が予期されない突然死の転機であり、その他にはに溺死、事故、感染、不明等の死因が挙げられる。

2009年に13か国の36センターで実施した調査においては、903名の患者で52名の死亡が報告された(死亡率5.75%)。
全体の53.8%にあたる28人の死因は予期されない突然死、その他の死因の内訳は、6人がてんかん発作、5人が感染症、4人が溺死、3人が複雑なけいれん、1人が事故、肝不全、4人が不明であった。
1982年から2001年までの報告と比較して死亡率は低くなり、突然死の割合が高くなり、てんかん発作の割合が低くなった。

日本での調査では(Sakauchi M, Epilepsia. 2011)、246の子ども病院に質問用紙を送付し、91の回答を得た。
623名のドラベ症候群の児の報告があり、死亡率は10%(63人)だった。
死亡した59人のうち53%が突然死、36%がてんかん発作による急性脳症、10%が溺死、1人が劇症肝炎による死亡であった。

IDEA leagueによる調査では(Skluzacek JV, Epilepsia. 2011)、2010年6月におけるドラベ症候群の会員833名の情報が収集された。
そのうち31名(3.72%)は2000年から2010年のうちに死亡が確認され、そのうちわけは19人(61.3%)が突然死、10人(32.2%)がてんかん発作、1人がけいれんに関連した事故、1人がケトアシドーシスによる死亡であった。

上記の3つの報告における死亡原因に関して、突然死の割合は53-61.3%と極めて類似しており、主に2-10歳で生じている。
また調査方法が異なるため、その他の原因が違う理由を推測することは困難である。IDEA leagueによる報告のKaplan-Meyer曲線によると累積死亡率は突然死が2.9%、てんかん発作が3.9%、全ての原因による死亡が7.0%であった。
突然死の生じる頻度は年間平均0.6%(0-1.3%)であり、一般のてんかん疾患の児よりも高い。

一般に報告される突然死の生じる環境については、発作の増悪傾向のない、多剤併用による抗てんかん薬の治療をきちんと受けている子供の睡眠中に多く報告されている。
このような報告の多くでは、呼吸循環器の機能不全が仮説として挙げられているものの、突然死の原因を明らかにできないでいる。
有効な予防策はないが、睡眠中の子どもに気を配る、うつぶせ寝を避ける、窒息のリスクを減らすために平らな枕を使用するなど、ちょっとした注意がリスクを減少させる。

成人の患者でもまた、死亡率は高く、14人中1人、24人中5人といった報告がある。
後者の報告の死亡原因は3名が突然死、1人がてんかんに付随した急性呼吸不全、1人が不明であった。
日本からの報告では(Akiyama, Epilepsia. 2010)5歳から12歳の37名のドラベ症候群の患児のうち6名の死亡が報告されており、1名が突然死、2名が肺炎、3名がてんかん発作による重積であった。

てんかんによる突然死の原因を突き止めるため、多くの研究者が研究を実施している。
またドラベ症候群ではてんかん発作が頻回であるが、近年では新しい抗てんかん薬や発作時の対症法の改善により、死亡率と関連する発作は革新的に減少するだろう。

Reference: Dravet Syndrome p89-91

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