魚野川の向こうは和南津。
母も父もここで生まれた、自分も。
60年前に雑木林だった山を写生で書いた。
いつも自然の中でやる写生大会は山遊びと化す。
先生も予想してたようで時間が半分ぐらい過ぎると出来上がってないのは成績を落とすと脅迫めいた注意を叫んでた。
この日はどうゆう訳か遊ばないで書いてた。
この山を歩いて山を三つ越えると叔父さんの家があって泊りにも行った。
従妹たち、杉の木に囲まれた家は夜になると寂しい。
カーテンのないガラス窓に杉の梢と星空だくっきり。
モンゴルに行かなくても言い様な星空。
杉の木に動くのはモモンガ。
フクロウが鳴く、来なければ良かったと寂しさにちじこまってやがて朝を迎える。
家が恋しくてお昼ご飯を食べずに家路を急いだ。
母と行ったとき山で道に迷った。
ムジナに化かされたようだと言ってたことが忘れられない。
絵は町の展示会に張りだされた。
人生で一回だけの出来事。
今はきっと道がなくなって小さな木々が大木になって小さな森になってるようだ。
命が尽きる前に一日休みを取って彷徨ってみたい。
まだ山道がある地震前の遠い昔、記憶によみがえってくるキノコの臭いと木々の紅葉。
香りが記憶になってる。
急いで学食を目指さなければと言う気持ちを抑え込んだ。
盛りを過ぎたがまだ魅力ある色だ、今写さないと来年になる。
去年もそうだった、明日にしょうと思って結局シャッターチャンスを逃した。
落ち葉を踏みしめ森を歩いてみたいなー。