猫の15歳は人間の76歳に相当するそうです。
寿命といえば寿命だったのかもしれませんが、もう少しいっしょにいたかったというのが本音です。
それまで大病したことがなかったので、設備のある大きな病院に連れて行って血液検査などを受けるという考えがまったくありませんでした。
下顎にちょっと目立つ肉腫ができたときも様子見で、少し小さくなってきたから良性だったんだと思っていたのですが、別の病院で見てもらってもよかったのかもしれません。
ネットを見てたら、もしかすると、クロコちゃんの下顎の肉腫は肥満細胞腫というものだったのかもしれないなあと思いました。このときに検査設備のある病院に連れて行ったらよかったのかもしれません。(あとで考えてみましたが、これと「内臓型肥満細胞腫」は分けて考えたほうがよいようです)
舞鶴動物医療センター
病気のページ1
猫の肥満細胞種は犬のような予後に影響する因子は報告されていませんが、典型的に未分化なものは再発や転移を起こしやすく「悪性度」が高いようです。また、腸管に発生した肥満細胞種も診断時に転移がみられることが多く予後は不良です。
肥満細胞腫について ~犬の場合と猫の場合~ [腫瘍]
内臓(脾臓や消化管等)型は、他臓器への転移なども引き起こし、非常に注意を要します。
猫の肥満細胞腫
「内臓型肥満細胞腫」は、おもに脾臓や肝臓、小腸に発症します。内臓型肥満細胞腫の場合、初期には軽度の嘔吐や下痢が見られます。腫瘍の進行により、嘔吐や下痢がひどくなってくることがあります。また、次第に食欲不振、元気低下、体重の減少といった症状も見られるようになります。そのほか、腹部を触るとしこりが感じられたり、やせているのにお腹が目立つといった様子が見られる場合もあります。脾臓や腸管などにできる肥満細胞腫の多くは悪性度が高く、転移しやすいため、命の危険性があります。
最終的な悪性度等の診断には病理組織検査が必要で、これには外科的に採取した組織が必要です。
ということなので、やはりなにか気になることがあったら大きい病院に連れて行くことも考えておいたほうがいいでしょう。
クロコちゃんは「内臓型肥満細胞腫」、これだったのかもしれません。
シマコもクロコもわりと吐くほうで、食べたばかりのカリカリの餌を全部吐いたり、部屋が寒いと吐いたりしていました。下痢をしたのはうちに来たばかりの時に免疫が切れているようですと最初に連れて行った動物病院で言われた時ぐらいで、それから下痢をしたという記憶がないくらいです。
今思うと腫瘍が進行して嘔吐がひどくなった状態が、あの日だったんです。
よだれを垂らして口のまわりに泡をつけて、かといって餌や毛玉を吐くでもなく、トイレに入って腰を抜かしたようになり、砂の上でじっとしていました。
めったに鳴かないクロコが変な鳴き方をしている。これには気付いていたのに。
からだが変だよって訴えていたんだろうなあ。
あの時、私もひどい風邪を引いていて動物病院に連れていかなかったことをすまなく思っています。
次の日、二階の部屋のどこかでじっとがまんしていたようです。私も風邪で起きているのがつらくて、たしかちょうど土日にかかっていて市販薬を飲んで寝ているしかなかったのでした。寒さと私の風邪とで、クロコの体力を消耗させてしまったのかもしれません。
それから数日後だったか一週間ぐらいたっていたか覚えていませんが、気がつくとクロコが激ヤセしていました。
カリカリにかつおぶしをかけないと食べなくなりました。次はレトルト、そのうちレトルトのスープやゼリーしかなめなくなってささみをゆでてスープといっしょに置いていたら少し食べられたようでした。
シマコが来てすぐ食べてしまうので、クロコちゃんを先に食べさせようとするんですが、スープをなめるくらいで食欲がありません。水のところに来て口につけようとするが飲まないんです。水を飲むと痛かったのかもしれません。水の前でじっとしているクロコちゃんを思い出すとかわいそうになります。
食いしん坊でおなかがすくとおねだりして、餌を入れる間、きちんとおすわりをして待っている子でした。シマコちゃんが横から割り込んでくると、ゆずってしまうようなところがありました。
クロコちゃんはおしりをたたくとくるりと一回転して戻ってきました。またたたくと一回転。何回繰り返せば気が済むのだろうってくらい、ぶってぶって~と来ます。これが好きでした。
すっかり脂肪が落ちて腰も細くなり、さわると背骨にふれる。腰をたたいてみると、からっぽな音になっていてびっくりしました。シマコちゃんと明らかに違う音でした。
クロコちゃんがからっぽになってしまった!
明け方、猫のトイレを片付けようとして、クロコちゃんが下痢をしていることに気がつきました。やっぱり病院に連れて行かなければとやっと決心しました。なにか変だと感じてからもうひと月ほど経ってしまっていました。
先生に、水だけで生きているような状態だから、子猫用のミルクをお湯でといてあげてくださいと言われ、食べられるものがあるんだったらささみでもなんでもやってごらんということで、皮下への点滴を受けましたが、このときちょっと点滴が長すぎたようでした。先生が薬を調合しにいっている時間が意外に長かったようです。
家に連れ帰ってみたら歩けなくなっていました。(ネットで見ると貧血?)いつもと違う場所にじっとしています。
よし、明日は薬を飲まして食べさせてやるぞとレトルトを買い足ししてきました。
そのうちルル子ちゃんにゆずってしまったねこちゃんかまくらを買ってやるからと、クロコちゃんハウスをダンボールで作ってみました。中にクッションを入れると、入ってしっぽを外に出していました。寝てるのかと思って見ると、目は開いていました。日付が変わった頃にまた外に出てきて、こたつ布団の上で寝ていました。
別の部屋でちょっと用事をすませて戻ってみると、こたつの中に入ってしまっていました。
気がついたのが午前3時ごろだったか…。こたつの中で、クロコちゃんが位置を変えていたましが、口を開けています。明らかにおかしい。座布団におしっこもしている。自力で呼吸ができなくなっているらしい!
急いで毛布を広げてクロコちゃんを寝かしました。口を大きく開けているが息ができないようでした。
「クロコちゃん」と呼びながら、背中をさすったり胸や肋骨あたりを押し続けました。
苦しそうでした。
からだがほとんど動かなくなり、口を開けることも少なくなってきました。からだを押すと口を開けるのがやっとといった感じでした。
目を見ると瞳孔が開いている。ああ、もうダメだ…。クロコちゃん…。いっちゃダメ…。
4時頃、クロコちゃんは息を引き取りました。眠っているように見えました。
猫を室内で飼ったのも初めてだったし、こんなふうにさいごを見取るのも初めてでした。
朝になって寝ることになりましたが、興奮が続いているためかなかなか眠れませんでした。
冷蔵庫を開けてみて「明日から飲ませてください」といわれたお薬も一滴も飲ませられなかったことに気がつきました。病院から戻ってきて10時間ほど。あっというまでした。
15歳になっても元気だからと、もうあと何年かは大丈夫だろうと勝手に思い込んでいて
飼い主としてちょっと油断していたのかもしれません。
普段行く病院と別に、病理組織検査などができる大きな病院に連れて行くという意識が
まったく欠落していました。
猫みたいな小さな動物は、人間みたいに強くはないんだとあらためて思いました。
悪性の内臓の病気になると、本当に早いですね。あっというまに弱ってしまいます。
シマコちゃんも一人になって、いつもと違うということを感じているようです。
性格はぜんぜん違っていたけど、なかよし姉妹でした。