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良くも悪くも人間的。

2010年10月09日 | 


【 虫眼とアニ眼 】

養老孟司と宮崎駿の対談集。

どちらもとても良い事を言っておられる。
自分たちの力の程も理想も現実もよーく客観的に観た上での話。
対談と言うよりは、お互いにそれを理解しあって確認しあっている感じ。

宮崎駿のアニメは大人が観るもんだと昔は思っていた。
“ナウシカ”にしても“紅の豚”にしても、“魔女の宅急便”にしても、
大人が観て、自然について考えたり、ノスタルジーに浸ったりするもんだと。
しかし、当人は最終的には子供が楽しめるように作っているという。アニメなんだからと。
作品群を見ていると両方に揺れ動いているように見え、
それは商業的な考えもあるだろうし、旺盛なチャレンジ精神もあるだろうし、純粋な気持ちも当然あるだろう。

うちの子はトトロを何十回も観ている(これも宮崎駿本人は良くないと思っているようだ)が、
もちろん、懐かしいとは思わないだろうし、自然に宿る何かに敬意を払おうとは思わないだろう。
ただ、何十回も見ているということは間違いなく楽しんでいるのだ。
“千と千尋の神隠し”の良さは僕には分からないんだけど、
子供たちは大好きなところを見ると彼らの心を惹きつける何かが間違いなくあるのだ。

養老孟司は虫の眼を持つ人が少なくなってしまった事を指摘する。
ディティールにこだわる人が少なくなってしまっていると。

理想だよと言ってしまえばお仕舞いだし、何か有効な手立てがあるわけではない。
ただ、こんな視点で世の中を見ているおじいさん達がいると認識するだけで、
今まさに子育てしている自分達が、もっと考えなくちゃな、と思える。