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雷光のごとく。

2009年12月26日 | 


宮部みゆき【 弧宿の人 】

宮部みゆきの作品は素晴らしい。何が素晴らしいと言って、わかり易い。
わかり易く物を伝えられるから面白く、そして人気があるんだなぁ。

あと、すごく中性的なの。
男性の書く時代物が樫であるならば、女流作家は柳。
僕は小説における柳のしなやかさが苦手なので、
ミステリや時代物ではほとんど女流作家を読まないけど、宮部みゆきは違う。
ちょうど、堅さとしなやかさを備え、強さを持った竹だな。

そんな訳で傑作の多い女史の作品の中でも、これは出色の出来だとおもう。
史実があったとしても大変な時代考証のなかで、架空の藩を作り上げ、
その中で生き生きと人々が生活している。ファンタジック。
科学の芽が出始めようとはしているが、
まだまだ人々の間では悪鬼や生霊が信じられている、そんな時代。
土地に根付いた生活の中で、それを覆されることへの恐怖。
今よりももっと身近にある、自然の脅威、そして死。
現代の大人は、噂の怖さを身に染みてわかっているのに、
近所の噂話、ゴシップに踊らされずにはいられない。
人間の弱さの中に、それでも生きていく強さと優しさがある。
ラストせつないわー。