小泉喜美子【 弁護側の証人 】
いつも騙されたいと思ってる。
だからケビンスペイシーが好きだし、Mナイトシャマランの映画も観てしまう。
一本取られたー!と言いたくてしょうがないんだよね。
この本は60年代に書かれた名作ミステリーの復刻らしいが、
道尾秀介大絶賛という帯につられて読んでみた。
そんな風に書いてあると、騙されないぞーと思ってしまい、
またそう思えば思うほど大きな視点で見られなくなる。
いつの間にか先入観に足元をからめとられているのだ。
この小説の良いところでも悪いところでもあるんだけど、
騙そうとしている、騙されているのは登場人物たちではなく、
ほぼ読者の方にだけ向いている。
だから、話の内容自体はそんなにたいした事じゃないの。
でも、綺麗にすっきり一本取られて、気持ちいいです。