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あざなえる縄の如し。

2008年10月07日 | 


山本一力【 かんじき飛脚 】

山本一力の作品以外も結構読んでるんだけど、
この人の本を読むとなんかレビューを書きたくなるんだよね。

藩主が内室を同伴する異例の宴は、
加賀藩を意のままにする為の老中、松平定信の罠。
期日までに秘薬“密丸”を届けるため、難所や御庭番の襲撃を潜り抜け飛脚が走る。

時代小説で旅というと股旅物が多いけど、これは飛脚の活躍を描くサスペンス。
山本一力ならではのプロフェッショナルの描き方。
時代劇で見る飛脚は主役とすれ違ったり、せいぜい誰かに文を渡す程度。
しかし、情報は今も昔も政治・経済の要なんだから、そんなに簡単なものな訳がない。
電話も車も無い時代の情報伝達・物流がいかに大変だったかよくわかる。
そして、今の情報化社会が得たもの失ってしまったものが見えてくる。

随所に出てくる土地の食べ物、季節の食べ物も本当においしそうで、
これがまた旅の良さ、そして仕事の後のおいしいご飯への感謝を再認識させてくれる。

小説を買ったときは全然意識していなかったんだけど、
今回、読んでいる途中で金沢へ旅行をしたので、
物語に出てきた峠の名前や名産品など“おお、これかー”と感激でした。
高速道路から見える山また山を(しかも雪)走り抜けてたんだなぁ。凄い。

ちなみに写真は石川県千里浜です。