映画感想(ネタバレもあったり)

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映画『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』

2022-08-03 | 映画感想
サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)
上映日:2021年08月27日 / 製作国:アメリカ / 上映時間:118分
監督 アミール・“クエストラブ”・トンプソン
出演者 スティーヴィー・ワンダー B・B・キング フィフス・ディメンション


目次

  1. ハーレム・カルチュラル・フェスティバル(Harlem Cultural Festival)
  2. 『メイキング・オブ・モータウン』
  3. ブラックパンサー党
  4. 音がいい

ハーレム・カルチュラル・フェスティバル(Harlem Cultural Festival)

は別名ブラック・ウッドストック(Black Woodstock)とも呼ばれて、アフリカ系アメリカ人の音楽と文化を祝い、ブラック・プライドを掲げて政治や白人、黒人(を含む有色人種)自身の変革を推進する音楽コンサートでした。
wikiによると
「1969年6月29日から8月24日までの日曜日の午後3時にハーレムのマウント・モリス・パークで開催された」
「6回の無料コンサートのシリーズには、合わせて30万人近くが参加した」
とのことなので、毎週日曜日3時から同じ場所で6週間開催されたんですね。
きっと会を追うごとに噂が広まって「私も行きたい!」と人が増えていったことでしょう。

***

このライブを収録してたんだけど誰も黒人のフェス映像なんて買ってくれなくて約50年間地下で眠っていた忘れられていた。
そのライブ映像とミュージシャンなどのインタビューを交えた映画かこの『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』。
またwikiによると
「ニューヨークのWNEW-TVメトロメディア・チャンネル5(現WNYW)は、1969年6月から8月の土曜日の夜の午後10時30分に1時間のスペシャル映像を放送した。」
とのことなので当時はライブの前夜に放映されていたんですね。
しかも以降、テレビのスペシャル番組や映画化の話が浮かんでは頓挫した…、という流れを何度かやってきたっぽい。

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『メイキング・オブ・モータウン』

関連作として『メイキング・オブ・モータウン』も観るとお互いを補完し合えるかと思います。
モータウンレコードの人気が最高潮の時がハーレム・カルチュラル・フェスティバルらしいので、どのようにそこまで流れていったかがわかるかと。
黒人アーティストが綺麗な服を着てテレビに出てスターになること自体が衝撃的だった時代に、人気黒人アーティストを次々と輩出し大ヒット局を量産したモータウン。
モータウンでは黒人アーティストは割と綺麗なカチッとしたスーツなどを着るものでした("善き黒人"のイメージでしょう)。
ハーレム・カルチュラル・フェスティバルではさらに一歩進んで、ヒッピーファッションのようなダルだるの服(でもめっちゃオシャレ)を着て出てきたり、バンドに白人や他の人種のメンバーが混ざっていたり、と。この数年での変化を感じます。

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ブラックパンサー党

について『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』がいいですかね。
ブラックパンサー党は剛腕チームなのでダークなイメージもあるけど、子供に教育の場を設けていたり、このハーレム・カルチュラル・フェスティバルでは警護をやっていくれていた(当初NY市警が警護してくれなかったから)。
普通にライブ映像にブラックパンサー党のメンバーが警護員として写っているのがドキドキする。。

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知。

実際のライブ映像をたっぷり見せてもらいつつ、50年前その場にいた観客が当時を思い返すインタビューや、
スティーヴィー・ワンダー、メイヴィス・ステイプルズなど出演アーティストが50年ぶりに自分の出演シーンを見ながらトークしてくれるのが嬉しい。
さらに
当時の人種問題やハーレムのドラッグ問題(失業や街の荒廃もありドラッグに手を出してしまう)や、
それぞれのアーティストの生い立ち(綿花農家で週3ドルで働いていたなど)などを知れるので、
単に素晴らしい音楽ライブ映像を楽しむ以上の学べる喜びもこの映画には詰まってる。



音がいい

が、しかしなんといってもライブ映像ですよ。すごいの。
ていうか音がすごい。
これどういうことなんだろう。そもそもテレビ番組用に収録したもので、今の映画館での上映や今のテレビで再生しても素晴らしくかっこいい音なのはなんだろう。
よくわかんないけどリマスターみたいなことをしてるんですかね。
すっっごい後ろで叩いてるタンバリンの音とか聞こえるのさ。
トランペットの音になる一瞬前の唇とマウスピースの擦れる音まで聞こえるのさ。
どういうことなの。

***

僕はあんまりブラックミュージシャンのことを知らなくて、今回の出演者でも知らない人、グループも多かったんですが、全員すごいので全員に圧倒された。
音楽性も多様で、ポップス寄りのバンドもあったり、めちゃくちゃゴスペルだったり、アフリカ民族音楽寄りだったり、それぞれ個性は違うけどニグロではなく「ブラック(黒人)」というプライドで同じ場に立っているのが力強かった。



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