転勤族のいばらきブログ

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1Q84 何を伝えたかったのか? 

2009-08-19 19:32:37 | 
「1Q84」を読み終えた。



読み始めたのは約1ヶ月前だが、BOOK2の方は会社が夏休みの今週3日間で一気に読んだ。1000ページ余りの長編を感じさせない、飽きさせない。確かに村上春樹の世界がそこにある。


しかし、ノーベル賞作家になるかも知れない現役小説家の久々の新作という話題性で3780円也を支払い読み始めてみたものの、ストーリーが進むにしたがって、何を言いたいのか理解できなくなってきてしまう。


「1Q84」というタイトルは、ジョージ・オーウェルの「1984」を意識しているのは確かだし、天才少女作家「ふかえり」こと深田絵里子は「綿矢りさ」をパロったのかなと笑ってしまう。しかし、先の展開がどうなるかワクワクしながら読めたのはBOOK1の2/3くらいまで。BOOK2に入るとおぞましく、不可解な展開になり、読者によっては気分が悪くなるだろう。




この小説が読後に不快感をもたらすわけは、ザックリ言って2点ある。



1点は、明らかにカルト宗教を題材にしており、その存在を肯定しているかのようにも読めるところである。


山梨に存在している絶対的教祖の宗教。その教義に逆らうものは殺人もためらわないといったら、誰もが「オウム真理教」を思い浮かべる。また、少女を巫女として教祖に捧げるというのは、韓国のカルト宗教「摂理」も思い浮かぶ。


青豆は老夫人に教祖を別の世界に送り込む使命を託されるが、教祖は青豆が自分を殺しにきたのをなぜか承知しており、しかも受け入れる。そして、青豆は教祖が少女を犯すのは自分の意志とは無関係におきている不可解な病から来ているのを知り、また教祖が本当に不思議な力を持っていることにも納得してしまう。



リトルピープルも空気さなぎもファンタジーならそれで良いが、宗教が絡んでいるのは問題が大きい。


多くの人は、作者はカルト宗教にも存在意義があると認めているのではないか解釈してしまうだろう。



1995年の地下鉄サリン事件は戦後最悪のテロ事件である。絶対に許せないし、2度と起こしてはいけない。しかし、あれから14年。あの事件をよく知らない世代が成人を迎えている。不安定な今の若者たちが、1Q84を読んで、興味本位でカルト宗教に関心を持たないのか老婆心ながら心配である。





2点目は、読者に解釈を任せすぎな点だ。


なぜ、青豆は殺人者になったのか。親友が夫のDVで殺されたからという理由では正直ピンとこない。

姿をくらました小松はどこに行ったのか? 牛河は、セックスパートナーの安田恭子はどうなったのか?

そして、ふかえりの父である教祖が青豆に殺される時と同じに、ふかえりは天吾を受け入れているが、何を意味していたのか。ふかえりは「セイリがないからニンシンしない」と言っているが、あれはふかえりのドウタだったのか?


青豆はなぜ死ななければならなかったのか?ひょっとして死んでいないのか?


何から何までわからないので、読み終わっても全くスッキリしない。



きっと、多くの人が指摘しているように続編があるのだろう。BOOK1<4月―6月>、BOOK2<7月―9月>というタイトルがまだ続きをあることを示唆している。






村上春樹は、私のような凡人読者からのこんな批判が出るのを覚悟というか、それを織り込みずみでこの2冊を出したのだろう。そして、近い将来、続編というメッセージで応えてくれる。そうあることを期待したい。





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