転勤族のいばらきブログ

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あまりに理不尽な電機メーカーの苦境

2012-02-05 12:24:24 | ニュース
2月3日、電機大手8社の2011年4~12月期連結決算が出そろい、パナソニックは12年3月期の連結最終(当期)損益について、従来予想の4200億円の赤字から7800億円の赤字(前期は740億円の黒字)に下方修正すると正式発表した。大手家電の連結最終赤字としては、2009年3月期に日立製作所が計上した7873億円にほぼ匹敵する水準である。
テレビ事業など本業不振や歴史的な円高などのため、8社中4社が2012年3月期連結最終(当期)赤字の見通しで、4社合計で1兆3900億円の赤字となり、日本の家電業界の苦境が鮮明となった。



どうして、こんなことになってしまったのだろう。


言えることは、電機メーカー各社の戦略や開発力に大きな問題があったわけではないということだ。


確かに、アップルやグーグルの展開する事業に各メーカーが上手く追随出来なかった問題はある。しかし、電機メーカーが苦境に陥っているのは、歴史的円高と日本の「モノづくり」の象徴であったテレビ事業等の存在価値の低下に起因するものである。



円高とは、簡単に言えば「円の価値が高いこと」、「すなわち日本という国の価値が高いこと」である。つまり、日本が世界から高評価されているのだから悪いこととは一概に言えない。ただ、今の円高は「円が高い」のではなく「ドル、ユーロが安い」のである。原因はリーマンショックに起因するアメリカ経済の失速である。また、「9.11」以降の中東、アフガニスタンへの軍事介入への疲弊もアメリカ失墜の大きな要因である。

日本もリーマンショックの影響は大きく受けたが、まだアメリカ、ヨーロッパよりましという評価であり、「ドルやユーロより円を持っておこう」という世界の投資家たちの消極的選択が円高を作り出している。




アナログ時代のテレビは簡単には開発困難なノウハウがあったが、薄型テレビは必要な半導体やパネルを揃えれば特別な技術力はほとんど必要なくなってしまった。今のプラズマテレビも液晶テレビも多くは日本の電機メーカー等が開発したものだが、そのノウハウであっという間に韓国メーカー等に低価格で大量生産されてしまった。その結果、中国、韓国勢に価格競争で負けてしまった。



ところで、話は世界経済になるが、アメリカもヨーロッパも日本も中国頼みの経済構造になってしまっているのが問題である。


中国という国が、資本主義経済とインターネットも言論の自由もままならない社会主義国家という究極の二面性国家であり、本音は認めがたい存在であることはアメリカもEU諸国もわかっている。しかし、今は自国の経済破たんを回避するために中国という国を利用するしかない状況だ。

中国が今以上に資本主義の経済体制を選択するのであれば、せめてロシアのように国民が元首を選択できる選挙制度に改め、チベット人種への差別をやめ、国家全体の貧富の差をなくしていくべきだ。世界は中国が常識的なルールに則った穏健な経済大国になることを望んでいる。しかし中国は自らそのような選択は現在の体制崩壊に直結するものであり決してやらない。中国の今の国力を考えたら通貨元の大幅切り上げを行い、中国製品の海外での価格を大幅に上げるべきだろう。しかし、中国は年収数十万円の安い労働力で製品を輸出し、年収億単位の一握りの富裕層を作り出して、発展してきた。中国は、国内の反政府勢力には恐怖政治で弾圧し、通貨元の切り上げのような外圧に対しては、軍事力で挑発してくる。その影響をまともに被るのは隣国日本である。




中国の話はまた別の機会にするとして、家電メーカーのV字回復のキーとなるのは、

○アメリカを中心とした欧米諸国の景気好転
○手頃で高品質な商品を提供してきたビジネスモデルの見直し
○新しい成長戦略への対応

の3点だろう。


一番目の欧米諸国の景気好転は、いわば異常な円高ドル安からの脱却である。今はアメリカの景気がまだ低迷し、アメリカの金利引き上げの見通しが立っていないためドル高になる要素が見当たらない。しかし、今後アメリカの景気が回復していけば、景気の回復見通しによって、ドルが買われてドル高になっていく。景気回復のために金利が引き上げられるようになれば、さらにその傾向を後押しする。1ドル100円になれば、状況は相当変わってくるはずだ。


二番目の「手頃で高品質な商品を提供してきたビジネスモデルの見直し」は難しい問題だ。今までの高い開発力を駆使し、高品質な商品を、ブランド力で一定の価格で提供するという日本的なやり方がなかなか通用しなくなっている。しかし、日本の電機メーカーは安かろう悪かろうでなく、体制を縮小してでも唯一無比な技術力を持った商品を開発し、中国、韓国との差別化をしていくべきだ。今はつらい時代だが、安易に技術投資を見切ってはいけない。必ず事態は好転する。


三番目は「新しい成長戦略への対応」だ。スマートシティ、省エネ分野、太陽光発電、蓄電池など環境に配慮した分野の強化は大きな課題だ。パナソニックは三洋電機を統合したのも蓄電池分野への対応である。必要なのは技術投資の削減、工場の海外進出による日本経済の空洞化を起こさないようにすることである。あと、円高に対応するため、否応なく工場の海外進出をせざるを得ないのであれば、進出する相手国は友好的な国にすべきである。具体的には中国はやめた方が良い。日本は東南アジア、インド、南米等にパートナーを変えていくべきである。




最後に、日本の真面目さ、勤勉さは世界の憧れだ。東日本大震災でもパニックにならない、譲り合う精神は称賛された。円高で苦しんでいる我々にとっては皮肉なことだが、円高とは日本への評価であるのだ。しっかりプライドを持って生き抜いていきたい。

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