デンキ街の本屋さん 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ) 価格:¥ 580(税込) 発売日:2011-11-22 |
pixvなどで精力的に活動してらっしゃる水あさとさんの新作。
ご本人のHPはこちら。
[ミルメークオレンジ]
http://mizuasato.com/
いやー、掛け値なしに面白かったです。>『デンキ街の本屋さん』
ちょい前に買った『めいなのフクロウ』は、誤解を恐れずに言うと自分の好みから外れていたんですけど、こっちはモロにツボ。敢えて同じ表現を使うなら、ラブコメ要素が本筋のストーリーラインとしっかり融合していて、読んでいてしっくりくる内容でした。
や、なんていうか、テンポが段違いにいいんですよね。僕はそれほどたくさん水あさとさんの作品を読んでいるわけではありませんが、「シリアスなのかコメディなのかよくわからないけど勢いで押し切る」みたいな展開が持ち味の一つだと思っていて、『めいなのフクロウ』ではそのへんが上滑り気味だったせいでテンポを殺していました。が、今作では上滑りすることなく、絶妙なバランスを保ってシリアスやギャグ、ラブコメなどの要素が押し寄せてくるので、それほど内容が詰まっているわけでもないのにすごく満足のいく読後感を得ることができます。
具体例としては、海雄が先生のアシスタントをするエピソードの、
「真剣な顔だし、あんな辛そうだったのに、全然弱音も吐かない……」
↓
「うわーん、もうやだよう、眠いよー、寝たいよー」
↓
「わー、また赤ちゃん始まった」
このあたりを参照して頂ければ。
なんかこう、「キリッとしたイメージを抱いたのに、あっという間にそれが崩れる」というところまではよくある展開なんですけど、そのあとの「わー、また赤ちゃん始まった」というツッコミに水あさと節を感じてしまう僕なのですよ。相手のしょうもない性質を、半ば呆れ、諦めつつも受け容れる的な雰囲気がなんとも言えず微笑ましくてなあ。ツッコミのちょっと平坦な感じも笑いを誘うというか。
と、この例でも顕著ですけど、全体的に「漫画」という媒体を用いるのが巧みで、ページをめくることで前のページからガラッと雰囲気を変えるのがうまいですよね。雰囲気が変わるといっても物語の流れが途切れてしまっているわけではなく、そこはしっかりと継続しているので読み進めていくのが楽しくて仕方がありません。こういうのをテンポがいいっていうんだなーとしみじみ。
ちなみに一番気に入ったのは、大打ち水大会のエピソード。腐ガールとひおたんが水をかけられまくってアヘってるのが面白すぎる。本来であればいやらしさとかエロさとか感じそうなシーンだけに、ここで笑わせられるとは思わなかったわ。
つーわけで、お薦めなので是非手にとってくださいということで一つ。