まだ続きます…
<犬の幽霊>
推理小説誌に発表されたもの。
確かに人は死ぬが、純文学の色合いが9割。
ラストの一行がよくわからなくてしばらく考え込んでしまった。
ん…思いつくのはただ一つ。
「深読みする読者」への富島氏のアイロニーか、はたまたそれこそが“ミステリー”なのか?
(ちなみに解説には「父性愛」と…)
<考えない人>
これが一番頭を抱えた作品。タイトルは「考えない人」なのに…。
こっちのほうが“ミステリー”なのではないか?
何が言いたいのかよくわからない。大友の冷酷さか、女のバカさかげんか…。
高原は自殺ではなく、大友が殺したのか?皆が共犯なのか?
そのあたりの伏線をもうすこしはっきりさせてほしかった。
一点注目したのは、高原の友人の山下が、高原が自殺した根拠を語るところ、
高原は七歳の時に母を失った。人は思想や倫理観のために死ねるものじゃありませんよ。
幼少に母を失った高原は、常に女性への憧憬のなかに生きてきた。(略)高原は次々に女の人と友達になった。これは永遠の女性を求めての虚しい彷徨だったのです。
これが読解のヒントになるかと思いきや…そんなこともなさそうだし。
まとめきれないうちに話が終わってしまった印象。
この作品の焼き直し?である『歪められた初夜』を読んでまた考えよう。
2010年12月31日読了
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さて…
今年もあと2時間足らずでおしまいです、
富島作品を1月に読み始め、すぐにこのブログをはじめて約1年。
いろいろな方との出会いがあり、思いがけない発展があり、
非常に充実した1年でした。
来年は、私個人のつまらぬ感想だけでなく、
もっと役に立つ情報も合わせて発信していきたいと思います。
やりたいことがいっぱいあります。
コメントやメールをくださった方、陰ながら見守ってくれている方、
みなさん、今年一年ありがとうございました。
どうぞ来年もお付き合いのほどお願いいたします。
まだまだ、ふみの実験は続きます。
よいお年を!
この作品はあまりに理解不能だったため、作者が「考えない人」なんじゃないかだと思いました(笑)。
長編バージョンは「歪められた初夜」ですね。まだ読んでないや。長編大河官能ロマンのせいで…。
目からうろこ~考えない人は私です。
そういえば、大友は薬の包を持っていましたね。
こういう作品を読むと、長編で書いたらどうなっていただろう、と思います。