VIDEO
(阿修羅より)
プレゼンテーションの戦略ミス 猪瀬知事の発言も仇に
<王室作戦で形勢逆転>
勝負はついたようだ。
20年夏季五輪の招致を目指す3都市(東京、マドリード、イスタンブール)の争いは、去る3日にスイスのローザンヌで開かれた開催計画説明会でのプレゼンテーションで、大勢はスペインのマドリードに傾いたという。
スペインはこのプレゼンに、92年バルセロナ五輪にヨット競技で出場したフェリペ皇太子を起用した。説明会には五輪開催地を決める投票権を持つ国際オリ ンピック委員会(IOC)の100人の委員のうち86人が出席。IOC委員には王室メンバーが多数名を連ねていることから、プレゼンが終わるとフェリペ皇 太子のスピーチには好意的なコメントが多かった。
そのスペインは、サマランチ前IOC会長の長男をIOC委員として送り出している。IOCメンバーに太い人脈を持つサマランチ・ジュニアは説明会当日もロビー活動を展開。「東京有利」といわれた招致レースのヤマ場で「形勢を一気に逆転させた」ともっぱらだ。
海外に知人の多い、ある日本オリンピック委員会(JOC)理事は最近、「20年五輪は東京にはこない」とがっかりした表情で関係者に漏らしたという。身内でさえ、東京の負けを察しているのだ。
今回の招致レースは当初、イスラム圏初の五輪となるイスタンブールと、安全と資金力、コンパクトな会場配置が自慢の東京の争いといわれていた。
24年夏季五輪は、1924年から100周年を迎えるパリでの開催が有力。「2大会連続で欧州での開催は無理」とみられていたこともある。
そこで劣勢のスペインは、欧州で人気のある王室を使った作戦で巻き返しを図った。
3月に行われたIOCの現地調査の際にも、招致都市が調査期間中に1度だけ開催できる夕食会をスペイン王室が主催。フェリペ皇太子やソフィア王妃らが リーディー委員長ら評価委メンバーを市内の王宮に招待。フェリペ皇太子が「スペインは大規模な国際総合大会を開く能力は十分にある」とスペイン語で訴え、 評価委員たちにインパクトを与えた。ちなみに、スペイン王室と親交のあるオランダ、デンマーク、ベルギー、スウェーデンは、すでにスペイン支持を表明して いる。
東京もIOC評価委員の現地調査期間中に迎賓会で晩餐(ばんさん)会を開き、高円宮妃殿下や安倍首相らが出席したが評価委員の反応はサッパリ。
ある五輪関係者は、プレゼンでの戦略ミスを指摘する。
「フェリペ皇太子の熱弁がIOC委員たちに称賛されたのに対し、日本はフランス出身のフリーキャスター・滝川クリステルをもってきた。そもそも彼女は海外 での知名度はゼロ。IOCの公用語である仏語を流暢(りゅうちょう)に話すことぐらいしかIOC委員の印象には残らなかった。無名の彼女を起用したのは明 らかに人選ミスです」
猪瀬知事は4月、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで「イスラム諸国で人々が共有しているのは唯一、アラーだけ。けんかばかりしている。階級があ る」などと発言。IOCが招致都市に注意喚起する異例の事態が起きた。この知事は5月に行われたプレゼンの際にも、「東京は45億ドル(約4500億円) の開催準備金がキャッシュで銀行にある」とか、「東京では財布を失っても手元に戻ってくる。しかも、お金が入ったままで」と財政と安全面をアピールした が、「あれも、露骨な金の話を嫌うIOC委員には逆効果だった」と前出の関係者はいう。
20年五輪の開催地が決定する9月7日のIOC総会(アルゼンチン・ブエノスアイレス)では、IOCの次期会長選挙もある。最右翼といわれるドイツのバッハIOC副会長はマドリードを支持している。
猪瀬知事は12日、都市対抗野球の始球式で笑顔を見せ、20年五輪招致について「最後の九回裏まで分からない。招致もストライクを目指したい」と述べた。9月7日、歓喜の声を上げるのはスペイン・マドリードだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
東京五輪招致:汚染水漏れに質問集中 海外メディア(毎日)
【ブエノスアイレス藤野智成】2020年夏季五輪開催地を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会を7日に控え、東京招致委員会が4日、当地の ホテルで国内外メディア向けに記者会見した。海外メディアの質疑応答では、東京電力福島第1原発の汚染水漏れ問題の懸念が相次ぎ、質問6問中4問がこの問題に集中した。
竹田恒和理事長(日本オリンピック委員会会長)は、日本政府としての対処方針を示した書簡をIOC委員 に送ったことを明かし、「東京は非常に安全な都市。水、食物、空気は政府が責任を持って解決すると発表し、プロジェクトも発足して懸念はない」と説明。 「東京にとって放射能漏れが唯一の懸念材料になっているが」との質問には、「放射線量レベルはロンドン、ニューヨーク、パリなど世界の大都市と同レベルで 絶対安全」と理解を求めた。
竹田理事長は用意した書面を読み上げて対応していたが、厳しい質問が続いて答えに窮し、日本語に切り替 えた。そして「IOC委員からも放射能漏れの質問が予想されるが、どう対処するのか」との質問に、竹田理事長は「総理からも最終プレゼンテーションで説明 する。福島は東京から250キロ離れており、皆さんが想像する危険性は東京にない」と時折、声を上ずらせながら答えた。
会見にはトヨタ自動車名誉会長の張富士夫評議委員(日本体育協会会長)が同席したが東京の経済力に絡んだ質問は少なかった。
7日の投票に先立つ最終プレゼンテーション(招致演説)でもIOC委員の質疑応答の時間が用意されており、汚染水問題への質疑が相次ぐと見られる。
・・・・・・・・・・・・・・・・
五輪招致 汚染水問題の質問相次ぐ(NHK9/5)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
都庁で行われた記者会見でポーズを取る東京五輪招致委員会(Tokyo 2020 Bid Committee)の竹田恒和(Tsunekazu Takeda)理事長(右)と水野正人(Masato Mizuno)専務理事(左)、東京都の猪瀬直樹(Naoki Inose)知事(2013年6月25日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News…記事本文
五輪招致トップ 身勝手な汚染水「安全」宣言 <東京の放射能はロンドン、NYと同じ> (日刊ゲンダイ9/4)
◆東京の放射能はロンドン、NYと同じ
東京五輪招致委員会の竹田恒和理事長(65)が、IOCの委員らに宛てた「みっともない手紙」(外国メディア関係者)をAP通信にスッパ抜かれてしまった。
APが入手した竹田理事長の手紙は先月27日付で、現地時間2日、ロンドン発の記事で内容を詳細に報じた。
見出しは〈東京招致のリーダーはIOC委員に福島は大丈夫と保証する〉。
竹田理事長は汚染水漏れの懸念を打ち消すのに必死で、IOC委員に手紙を送りつけたのだ。
APの記事によると、手紙の内容は一方的な“安全宣言”ばかりだ。
〈東京の生活はこれまでと変わったこともなく、安全なまま。空気も水も影響を受けていない〉
〈皆さんも、福島原発の状況をニュースで見たかもしれせんが、もう一度、言わせて欲しい。東京は全く影響を受けていない、と〉
〈東京の空気と水は毎日計測されており、何か問題があるという根拠は全くない。それは日本政府によっても確認されている〉
そして竹田氏は手紙の最後をこう締めくくっている。
〈世界中が政治的にも経済的にも不安定な中、東京は極めて安全。地震や津波から復興するうえで、五輪招致を国の魂を高揚させるチャンスにしたい〉
手紙を読んだIOC委員たちは、竹田氏が泣きすがる姿を想像したのではないか。
竹田氏はAPの電話取材にも応じ、どんな根拠があるのか「東京の放射能濃度はニューヨークやロンドンと同レベルだ」とまで言ってのけた。
いくら東京の安全性を強調したいとはいえ、ちょっとやりすぎじゃないのか。
「開催地決定の最終投票直前に、実際に票を投じるIOC委員に汚染水漏れに関する手紙を送りつけるのは逆効果でしょう。寝た子を起こすような話で、汚染水漏れの恐ろしさを想起させるだけです」(前出の外国メディア関係者)
AP通信は世界各国の約5000のテレビ・ラジオ局、約1700の新聞社と契約し、記事を配信している。竹田理事長は世界中に赤っ恥をかいてしまったか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・