回遊草(KAI YU SO)

さすらいの乙男妄想オヤジの妄想ブログ。あらゆるジャンルのカワイイを中心に浮気中?でも、惚れてるのはやっぱり「ミク」かな?

日出(いずる)国の「野球」の黄昏(たそがれ)

2007-12-18 19:56:47 | my favorite(お気に入り)
今年のオフも、少なからぬ日本のプロ野球のスター選手がメジャーリーグへと移籍していった。広島カープの黒田投手は、3年で約40億円という途方も無い契約で、単年ではあの「100億円男」の松坂投手をも上回るという・・・。

メジャーのことは別の機会にまた取り上げるとして、今日は日本の「野球」について言いたいことを言う。

スター選手が毎年のように抜けてしまった日本の「野球」は、それでもまだ「アジアNo.1」である。それだけ、日本人選手のレベルは、依然として高い。
まだまだ、「メジャー流失」は止まりそうもない。

といっても、現実問題として、今年はセリーグ優勝の瞬間すらTV放映がなかった。それだけ、ファンから「ソッポ」を向かれたのである。
セリーグ、突き詰めれば「巨人」の野球がつまらなくなったからである。
「スター選手」がいないからだけではない。「巨人の野球」がつまらないからである。

巨人の野球をつまらなくした、ひいては「日本の野球」をつまらなくした、「三悪人」は、「渡辺恒雄」、「徳光和夫」、そして一番は「長嶋茂雄」である。

「長嶋」は、「冷酷非情」な指揮官であった。他チームの主力選手を親会社の読売グループの資金力にものを言わせてかき集め、「働くのがプロ」と断じて調子を落とせばすぐ放出した。そして、また新しい「主力」をおねだりした。




“「強すぎて」つまらない”とまで言われた、往年の「打撃の神様」こと「川上哲治」氏が率いた「V9巨人(9年連続日本一)」は、それはそれは「理に適った」チームであった。

もちろん、チームの中心は「世界のホームラン王」の「王貞治」と「チャンスに強い男」の「長嶋茂雄」であったが、「俊足巧打(スイッチヒッターの先駆)」の「柴田勲」、「初代バントの名手:いぶし銀」の「土井正三」・・・などなど、1番から9番まで、ピッチャーからライトまで、打順・守備位置に応じて「個性」豊かな選手が揃っていた。(集めた?!)

その陰には、「牧野茂」という「武田信玄」に例えれば「山本勘介」に当たる「名参謀(軍師)」がいた。

実は、牧野は巨人ではなく「中日」の選手・コーチであったが、かれの「巨人批判」を読んで感銘を受けた川上が、巨人史上初めて「外部」から招いたコーチであった。かれは、メジャーリーグの「ドジャース戦法」と呼ばれる今で言うなら「スモールベースベースボール」つまり、組織的に戦う戦法を日本に紹介し、それが「V9」につながったのである。

そんなスター中のスター「スーパースター」の「王」や「長嶋」だって、スターになる前の「苦節」の時があった。

東京6大学の当時のホームラン記録を引っ提げて鳴り物入りで入団した「長嶋」は、オープン戦でも好成績を挙げていた。

その鼻っ柱を「4打席4三振」と、完膚なきまでにへし折ったのが「400勝投手」の「金田正一」であった。

しかし、それで一念発起した「長嶋」は、練習と研究を重ね、終わってみれば見事その年「3割(リーグ2位)」を打って、「ホームラン王」と「打点王」のあわや「三冠」という成績で「新人賞」に輝いたのである。「選手」としては、まちがいなく「偉大」であった。

「選抜」の「優勝投手」として巨人入りした「王」は、結局投手では通用せず打者に転向した。最初の年は「1割台」の打率で「三振王」と罵声を浴びたこともあった。
やがて、運命の人「荒川博:打撃コーチ」と巡りあい、あの「一本足打法」を生み出したのであった。
真剣(本物の刀)を使い、コーチの家の畳が擦り切れるほど何度も「素振り」を繰り返し、子どもが腕にぶら下がってもビクともしない安定した「打撃フォーム」を完成させた。

こうした、挫折を乗り越えて「夢」を掴んだ「伝説」を聞きながら、当時の「野球少年」たちはTVに釘付けになっていたのである・・・。

「V9」の流れを汲むのが、「広岡」、「森」、そして「古葉」であった・・・。

そんな中、「監督」として登場した「長嶋」は最初は挫折したが、復活してからは例の「ドンチャン野球?」をやった。選手の「個性」なんて“そんなの関係ねぇ~!”とばかりに「4番」バッターをズラリと並べて、「空中戦」へ・・・。

勝てば「ハデ」だが、「確率」が高いはずがない。それでも、選手は「商売」だから自分のためにがんばって「ミラクル」を起こす時もある。でも、めったに起こらないから、「ミラクル」なんだってば・・・。
そんな「長嶋野球」を「絶賛」したのは、稀代の「タイコ持ち:徳光和夫」と野球を知らない「おばさん」たちである・・・w(おばさんの恐怖www)



実は、おそらく世間的にはほとんど知られていないか、無視されている「事実」がある。

長嶋が、ドラマティックに引退した直後に『Number』というスポーツ誌の中で「衝撃」の告白をしていた。

それは、いわゆる「野生のカン」は「ウソ」だったのである。というか、彼の「作戦」であったのだ。

バッターは、ピッチャーの投球を予測する。ただ、漫然と次の球を待っていたのでは、打てない。だから、ある程度、球種やコースなどを「予測」する。ピッチャーは、その予測の「裏」をかこうとしたり、時には敢えて相手が待っているであろう球を投げ込む。それが、バッターとピッチャーの駆け引きである。
その駆け引きを楽しむのも、野球の魅力のひとつである。

現役時代の長嶋「選手」は、「野生のカン」の持ち主と言われた。

例えば、ホームランを打った時、“どんな球でしたか?”とアナウンサーに訊かれると、

“さぁ、どんな球だったか憶えてません。・・・ただ、来た球をバーッと振っただけですよ。”

とか

“配球?いやぁ~。そんなことは考えてないですよ。まぁひとつのw「野生のカン」とでもいいましょうか?打つ瞬間に、なんとなくひらめいたんですよ。”

みたいに答えていた。そうなると、ピッチャーも“野生のカン」じゃあしょうがないなぁ。あんまり、難しい配球を考えても無駄か・・・”と半ば、諦めたようで、「単調」な投球になったようである。

それが、実は彼の「ウソ(作戦)」であったのだ。彼も、きちんと「予測」したが、わざと上のように答えたのである。
見事、その作戦は「大成功」したのである。

彼の「偉大」なところは、その事実を「引退」するまで、つまり、もはや必要でなくなるまで、「秘密」にしておいたのである。
もし、その秘密を「墓場」まで持って行ってたら、もっと凄いけど、彼も人の子であったのだ・・・。
彼は、意外なほど「冷徹」「計算高い」のである・・・。もちろん、「自己中心」である。


現役時代の秘密は別にしても、監督(指揮官)としての彼のやったことは、ただ選手を「集めた」だけである。
「勝って当然」のチームを率いて、「優勝」すれば「監督の采配」、そうでなければ「選手の責任」では、たいていの「スター選手」でもやっていられない・・・。
お茶の間や飲み屋でTV観戦する「サラリーマン」には、そんな夢のない「現実(巨人戦)」なんか見ていて、面白かろうはずがない。

「原監督」の野球も見事に「長嶋」野球を継いでいる、不幸なことに・・・。


それが、やがて、様々な要因とも重なって、日本の「野球」を捨てて、「メジャーリーグベースボール」への流出という「大きな流れ」になっていったのである。