南野島男のGood Times

日常感じたことを面白おかしくエッセイ風に書きつづります。
これぞ笑いと勇気の玉手箱!

The long and winding road

2012-10-24 23:42:02 | Weblog

ビートルズの曲、『The long and winding road』は大好きなバラード曲のひとつでもあるが、高校三年生の時、いわゆる受験生として毎日受験勉強で苦しんでいた僕を癒してくれた思い出の曲でもある。

ある日の午後、勉強勉強で疲れ逃げ出したくなるような気分にさいなまれた僕は部屋の窓を開け放ち、四角に切り取られた青空をぼんやり見ていた。もし空を飛べたら今すぐこの部屋を抜け出してあの大空を鳥のように飛ぶのになと妄想を抱きながらいつまでもその四角い空を眺めていた。ちょうどつけていたラジオからビートルズの『The long and winding road』が流れ始めた時である。その四角い空に一匹のトンビが風に乗り優雅に舞い始めていた。僕はたまたま窓枠から見える空をトンビが通り過ぎているんだぐらいの気持ちでいた。ところがベッドに横たわりながら見えるわずかな四角の空をそのトンビは決して出ることなく風に乗り羽をはばたかせることもなくいつまでも舞い続けるのである。まるでラジオから流れる『The long and winding road』に合わせるかのように。一瞬夢でも見てるんじゃないんだろうかと疑ってもみたけどそのトンビは全く窓枠の空を外れることなく舞い続けた。3分半あまりのこの曲がやがて終わった時四角の空からトンビは飛び去った。僕はこの3分半の時間の中に底知れぬ癒しを感じた。いったい今のは何だったのかと後から何度も考えたが不思議としか言いようがない出来事だった。

僕はこの話を誰か他人に話したことなどない。話したところでただの偶然じゃ?で片付けられそうだし、どんなに詳しく話したところで僕が感じた感覚は理解できる人はいないし、分かってもらおうとも思わなかった。こうして初めてこの話をブログに書いてみたが、僕は今でも思っているあの時のトンビにはありがとうと絶対に言いたいと。何十年も昔の出来事だけど僕にとっては一生忘れられない出来事のひとつでもある。四角の窓枠の空を飛び続ける一匹のトンビ、そしてThe long and winding road。