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◇企業システム◇日本IBMがSOA対応の「保険事務処理効率化ソリューション」提供

2008-10-13 06:25:41 | システム開発

 【システム開発】日本IBMは、保険事務処理自動化を実現するSOAベースのプロセス・アプリケーション・フレームワークを含む、保険事務処理効率化ソリューションの提供を開始した。こえまで属人的に処理されていた契約や支払いどの保険事務処理を大幅に自動化することで、サービスの正確性向上とともに、最大で55%程度の処理時間短縮が見込める。これはIBMがグローバルに展開してきた保険オペレーション業務改革のためのソリューション「Insurance Operation of the Future(IOF)」を基に、日本IBMが日本の保険事務自動化に特化したプロセス・アプリケーション・フレームワークを開発したもの。 (08年9月30日発表)

 【コメント】今回の発表は保険業界向けのものだが、この底流にはIBMがこれまで志向してきた企業システムのノウハウが集約され、広く他の業界まで同じ手法でシステム開発していく方向付けがなされ注目される。従来IBMは各国ごとに独自の完結したソリューションを提供してきた。しかし、中国やインドなどの国々が低価格で優れたソフト開発の実績を上げるにつれ、得意な分野をワールドワイドな視点で捉え、グローバルな需要をある特定な国へ開発を特化させることによって、コスト削減とグローバルな標準化を実現るIBMの新戦略「グローバリー・インテグレテッド・エンタープライズ」へと移行を図った。これによる一つの成果が今回発表されたプロセス・アプリケーション・フレームワーク「保険事務処理効率化ソリューション」である。今回の発表では最大55%程度の処理時間短縮が見込めるとしているところが凄い。既に金融システムはシステム化され、処理時間の短縮はそう容易ではないと思われてきたが、実はそうではなかった。このことはベンダー側ばかりでなくユーザー側も大いに従来システムの見直しを行うべきだという教訓になる。

 今回の「保険事務処理効率化ソリューション」の目玉はやはりSOA(サービス・オリエンテッド・アーキテクチャー)だろう。IBMは全世界で既に6500社を超える企業にSOAを提供しており、日本市場においてもトップシェアを持つという。SOAはソフトをサービスという単位で捉え(ソフトの部品化)、ソフトの再利用によりアプリケーション開発の期間短縮とコスト削減効果をユーザーにもたらすといわれている。こうなると一国での対応よりグローバルな展開がより有利になる。IBMはグローバルで特定な業種ごとの取り組みを開始しており、今後、各業種ごとにその成果が明らかにされることになっている。こうなると日本国内を対象にしている国産ベンダーにとっては厳しい状況下に置かれることになろう。日本企業も現在グローバルな体制に移行しており、システム構築も世界各国を跨った形をとらざるを得ない。そうなると日本国内に限定された国産ベンダーよりIBMなどグローバルを対象としたIT企業の方が優位に立つことができる。

 IT企業ばかりでなく、これからの企業ユーザーは、グローバル化に対してどう対応するかを考えておかなければならないだろう。今回の米国の金融機関の再編成は日本の企業も巻き込まれざるを得なくなる。そのため、今後のシステム構築はあらゆる予想される事態を考慮したグローバルなシステムづくりが求められることなってくる。(ESN)