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◇企業システム◇米HPと米MS、システムの簡素化に向け、2億5000万ドルの投資を行うことで合意

2010-01-18 09:30:27 | システム開発

 【SI事業】米HPと米マイクロソフトは、あらゆる規模の企業におけるテクノロジ環境の大幅な簡素化に向け、今後3年間に2億5000万ドルの投資を行うことに合意した。両社は、次のの特徴を備えた新たなソリューションを共同で提供する予定。①システム基盤からアプリケーションまでを統合する次世代モデルをベースに構築 ②アプリケーション展開の迅速化によるクラウドコンピューティングの推進 ③既存のシステムの複雑さを解消し、マニュアル作業を自動化することでIT全体のコスト削減 。発表された両社の合意は、システム基盤からアプリケーションまでを網羅する、現在の業界で最も包括的なテクノロジの統合を目的としており、両社は同合意に基づき、ITシステムの開発や展開、管理におけるカスタマーエクスペリエンスを大幅に改善することを目指すことにしている。(米HPと米マイクロソフト:10年1月13日発表)

 【コメント】コンピューターシステムを巡る課題は、年を経るたびに高度化され、この結果として企業ユーザーは、より高度なニーズに対応できるソリューションが得られるはずである。しかし、現実はというと、なかなかそうは言えそうもない状況が生まれている。その原因の一つは、システムが高度化され、この結果システム自体が複雑なものとなり、サポート体制を確立する自体が大変な状況に追い込まれつつあることが挙げられる。それに加え、ベンダー間の仕様の相違が、新たなシステム構築の障害となりつつある。

 今回の米HPと米マイクロソフトの両社の提携の発表は、そんな企業ユーザー置かれている立場からすると、大いに歓迎すべきことといえそうだ。また、この背景の一つには、クラウドコンピューティング時代への対応という面が顔を覗かせている。クラウドニーズに対応するには一ベンダーだけの力では、到底及ばない側面がある。既にオラクルは、サン・マイクロシステムズを買収し、企業ユーザーの高度なニーズに対応しようとしている。オラクルーサンそして今回のHP-マイクロソフトの提携の背後にあるものは、グーグルの存在が深く影を落としている。来るべきクラウド時代にグーグルの独走を許さないという、決意が読み取れる。

 2社は、今回の提携により企業ユーザーに次のようなメリットを提供できるとしている。①高度に自動化されかつ自己管理された環境において、サーバー、ストレージ、ネットワークおよびアプリケーションなどのリソースをシームレスに統一することにより、ビジネス ニーズの変化への柔軟な対応が可能となり、結果としてビジネス効率の向上をはかることができる②Microsoft Exchange ServerやMicrosoft SQL Serverなど業界で利用されている、有力な企業向けアプリケーションのパフォーマンス、信頼性、そして可用性を向上させることができる③テクノロジ環境の自動展開や自動管理、および連続的な自己調整を可能にする、テクノロジ環境を可能にする統合された相互運用可能な仮想化および管理ツールにより、運用環境の強化をはかることができる④投資の保護や、TCO(総所有コスト)の削減が可能となるため、ユーザーは安心してステムを展開することができる。

 オラクルーサンそして今回のHP-マイクロソフトの連携が完成すると、IBMはどう対応するのかが、次の関心事となろう。今後、IT業界は、オラクルーサン、HP-マイクロソフト、グーグル、それにIBMの4強時代へと移り変わって行く可能性が強い。そのとき富士通、NEC、日立の大手国産IT企業は、果たしてどう対応するのであろうか。(ESN)