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◇企業システム◇日立情報システムズが中国に続きベトナムにオフショワ開発センター開設

2008-09-18 15:33:47 | システム開発

 【システム開発】日立情報システムズは、ベトナムのホーチーミン市にオフショア開発センタを開設した。同センタは現地ソフト企業のFTPコーポレーションのホーチミン支社内に開設し、技術者教育を主体にセンタの生産性向上と品質管理強化を推進する。これは今年7月に中国済南のオフショワ開発センタに続くもの。同社では海外リソースの有効活用と原価低減のため、中国・インドなども含めたオフショア開発を強化する。これにより、オフショワ開発要員を2010年までに2000人体制とする方針。 (08年9月18日発表)

 【コメント】日本の大手IT企業のオフショワ開発(海外でのソフト開発)が急ピッチで拡大している。これまでは進出先は中国が多かったが、日立情報システムズのように、最近ではベトナムへの進出の事例も多くなってきている。今後はさらにインドなどへの進出が多くなることが予想される。同社ではオフショワ開発要員を2010年までに2000人体制を目指すという。オフショワ開発は当初中国への進出が多かった。これは同じ漢字文化ということが根底にあったからだろう。しかし、インド企業などは、現地人に日本語教育をしてまでも日本のソフト受託を狙っている。この理由は、米国一辺倒であると、今回のサブプライムローン問題のように、米国の経済不況の波をもろにかぶりかねない。そこで、インド企業は日本市場に熱い視線を向けているのである。

 日立情報システムズは日本のITサービスの現状を「高品質で低コストのITサービスの提供やSE不足への対応が課題になっている。こうした厳しい環境下でビジネスを継続・成長させていくためには、オフショワ開発の推進が不可欠」と指摘している。これまで日本のソフト産業は日本語という城壁に守られて、平穏な日々を過ごしてきた。これはあたかも刀を抜かずに済んだ江戸時代の武士のようなものである。ところがこれからは黒船が日本のソフト市場を狙って次々に上陸してくる。この背景には日本の大手IT企業のバックアップ=オフショワが黒子として活動するわけなので、日本国内にいるとさほどに感じないかもしれない。しかし、日本の中小ソフト企業の仕事は、徐々に海外に持っていかれてしまうことだけは確かだろう。

 そこで、日本の中小ソフト企業の生き残り策が問題となってくる。今まで通りに大手SI企業の2次請け、3次請けに甘んじていていいのであろうか。やはりここで、何らかの手を打たないと将来生き残れなくなりはしまいか。そこで、今模索されているのが地方自治体との連携の下にオープンソースソフトウエア(OSS)を武器に、中小ソフト企業が下請け体質から抜け出し、自立できるかどうかと試みである。長崎県、福岡県、島根県など地場ソフト産業の育成に熱心に取り組み始めた自治体も出てきた。農業を見ればお分かりの通り、今あらゆる産業が世界市場との軋轢にもまれて、日夜努力をしている。ようやくソフト産業も他産業並みにグローバルな荒波に立ち向かおうとしている。(ENS)