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◇企業システム◇サンがコンテナ型仮想化データーセンター08年10月から出荷開始

2008-09-19 16:15:10 | システム運用管理

 【システム運用管理】サン・マイクロシステムズは、コンテナ型仮想化データセンター「Sun Modular Datacenter(Sun MD)」の国内販売を、08年10月から開始する。「Sun MD」はデーターセンターそのものをモジュール化(ユニット化)することで、データセンターを建造物から切り離し、データーセンターそのものを仮想化することで可搬性を実現し、より早く、低コストでデーターセンターを提供することができる。本体の国内販売標準価格は9865万8000円からで、受注から納期は標準で約10週間ほど。 (08年9月17日発表)

 【コメント】現在のデーターセンターは1台のサーバーごとに1つのアプリケーションが搭載され、平均サーバー利用率は5-15%といわれる。また、ストレージやPCはシステムごとに分断され、この結果サーバー/ストレージ管理が複雑になっている。これに対し、データセンター自体が仮想化されると①新アプリケーションの追加が容易②消費電力当たり性能に優れたサーバーの導入③統合化されたストレージ資源の最適化④デバイスに依存しない環境の提供⑤ビジネス変化に対応できる資源の追加―などが実現可能となる。この結果、システム資源の最適化が図られ、消費電力を考慮したデータセンターの実現が可能となる。「Sun MD」の仮想化は、サーバーの仮想化、ストレージの仮想化、デスクトップの仮想化の3つからなっている。

 「Sun MD」S20は、高密度、高エネルギー効率のデーターセンターを機能拡張した20フィート輸送用コンテナに組み込み迅速で容易な展開を可能にしたモジュラー化データセンター。スレッドレベルでの並列化によりCPUリソースをフルに使い切ることができる。従来のデーターセンターと比べ1/8のスペースで4倍の高密度を実現している。8ラックを標準搭載し、最大60A/200V2系統/ラックの電力供給で、独自の閉ループの水冷システムにより消費電力は0.38W(通常は0.67-0.65W)で済む。フェーズ1では①サーバー数約半分、能力450%以上向上②ストレージ機器数約1/3、容量は240%以上増加③60%以上のエネルギーコスト削減④データーセンター面積を88%削減⑤年間3227トンの炭酸ガス放出量を削減―できる。またフェーズ2では①年間光熱費をさらに30%削減②炭酸ガスをさらに年間876トン削減―することにしている。

 地球温暖化対策が叫ばれる中、データーセンターの省エネルギー化が今後強く求められることになろう。既にベンダー各社は省エネ型サーバー類を開発し、販売を強化し始めている。勿論サーバー単体でも省エネは実現で得きるが、サンの発想はサーバー単体だけではなく、仮想化技術を駆使することによりデーターセンター全体を省エネ化するという、これまでの発想とはまったく違うところがポイントだ。地球温暖化対策と事業継続の2つのニーズにより、データーセンター自体のあり方が、根本的に変わろうとしている。(ESN)