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◇企業システム◇ミドルウエアOSS普及に向けオープンビジネス推進協議会設立

2008-06-06 09:20:58 | システム開発

 【発表】SRA OSS,日本支社、電通国際情報サービス(ISID)、野村総合研究所(NRI)は、新たにオープンビジネス推進協議会(OBCI)を設立した。OBCIは、ユーザー企業に対するミドルウエアを中心としたオープンソースソフトウエア(OSS)活用に関する様々な情報提供や、ユーザー企業に対して有償サポートサービスや教育サービスを提供する情報サービス企業への支援活動を通して、オープンソースビジネス市場の創造に努めていくことにしている。これらにより、日本の社会全体が真にオープンソースのメリットを享受できる環境を整備し、情報サービス産業全体の発展に寄与していく方針。(08年6月4日発表)
 
 【コメント】日本には既にOSSに関する数多くの団体が組織化されている。その代表的ものはIPA(情報処理推進機構)が事務局の日本OSS推進フォーラムであり、老舗では日本Linux協会などがある。このほか日本全国各地に地方のOSS推進協議会が組織され、さらにOSS製品ごとのコミュニティが活発な活動を展開しており、数的にはOSSの標準化および普及促進団体は、この狭い日本では現状で十分と思われる。とこれがその中身を見てみると、必ずしも現状に即しているとは言い切れない。つまり、これらのOSS団体はOSSの啓蒙期に誕生したものが多く、このため、OSSの普及や標準化に力点が置かれ、特に、LinuxOSが中心で進展してきた。

 ところが、現状ではLinux自体に対するユーザーの認識は深まり、さらに、標準化も徐々に整備されてきている。一方、OS以外のDBやアプリケーションサーバーなどのOSSのミドルウエアについての情報はまだまだ十分とはいえない。一方、企業ユーザーは、OSSに対し「システムコストの削減」「オープンスタンダードな技術やソフトウエアの利用」「サポート期限に制約されない長期間にわたる情報システムの利用」などの点を期待しているのにもかかわらず、情報不足などからOSSが十分に利用されているとはいえない。

 ここに、今回のOBCIの設立の意義がある。つまり、企業ユーザーが自社システムを構築するに際し、具体的なOSS情報を提供し、さらに情報サービス企業に対してはOSS支援を行うことを主な活動内容としている。今までの「OSSとは何か」「OSSの標準化」「Linuxシステムの導入」などから一歩踏み込んで、企業システムにどうOSSを取り入れ、そして成果を挙げることができるのかにOBCIの活動の主眼が置かれている。この意味で、数あるOSS団体に、今回さらにOBCIが新たに加わった意義が出てくるものと思われる。(ESN)