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◇企業システム◇マイクロソフトがコンソーシアムと共同でデータフォーマット「OXML」の実証実験に成功

2008-08-01 16:01:10 | アプリケーション

 【アプリケーション】Windows+Servicesコンソーシアム(Wipse)とマイクロソフトは共同で、データ(電子文書)フォーマット「OpenXML(OXML)」の相互運用性に関する実証実験をマイクロソフトイノベーションセンターで3日間にわたり実施したOpenXMLはマイクロソフトが提唱し、Ecma(ヨーロッパ電子計算機工業会)での承認に続き08年4月にはISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)でも承認された国際標準のデータフォーマット。今回の実証実験では、OpenXML分科会メンバー企業4社とマイクロソフトが協力して、各社からそれぞれ提供された製品をベースに実験環境を構築し、各製品間でのOpenXMLベースの円滑なデータ交換を確認した。今回の実証実験を通して、OpenXMLを使用することで、既に市場に提供されている製品に一切の変更や修正を加えることなくシステム構築ができ、工数および開発コード数を平均60%削減することが可能であるとの検証結果を得た。 (08年7月30日発表)

 【コメント】OXMLはマイクロソフトの統合オフィスソフト「オフィス2007」で採用されているデータフォーマットだ。06年12月にEcmaから国際標準として承認されたが、ISO/IECでは07年9月に国際標準化の提案が否決された。マイクロソフトは修正案を再提出し、08年4月に86%から支持を受け、ISO/IECでも国際標準化が決定した。それまでは、ISO/IECの国際標準のデータフォーマットはIBM、サン、グーグル、オラクルなどが支持する「ODF」のみであった。ODFはオープンソースの統合オフィスソフト「オープンオフィス」などに使われている。現在IBMはグループウエアソフト「ロータスノーツ/ドミノ8」でODF対応ソフトを品揃えし、マイクロソフトのオフィス2007離れを模索している。

 もし、OXMLがISO/IECで国際標準が認められなかったら、マイクロソフトは大ピンチに陥るところであった。それは各国の政府系機関がオフィスソフトを採用する場合、国際標準品であることが前提になるからだ。いくらマイクロソフトのワードが圧倒的シェアを持っていても、政府機関での採用がストップとなれば世界的にシェアが下がることは防ぎようがない。つまり、08年4月にOXMLがISO/IECから国際標準の認証を受けたことは、マイクロソフトにとっては敵の侵攻を水際で食い止めたことを意味する。

 逆に、マイクロソフトはこれを契機に一挙に反撃に転ずることになる。今後世界的に高いシェア+国際標準を武器にODF陣営と戦うことになるが、正に鬼に金棒という状況になることは間違いない。その第一声が世界に先駆けて日本で行われた今回の実証実験である。つまり、複数のソフトウエア企業による、ビジネスシナリオに即した形でのOXMLを用いた相互運用実証実験は世界初なのだ。今後、マイクロソフトの攻勢の前にIBMはどう対抗していくのか、目が離せない。(ESN)