【アプリケーション】アシストが提供するOSS(オープンソースソフトウエア)のオフィスソフト「OpenOffice.org」の支援サービスが、愛媛県四国中央市で4月1日から採用された。OpenOffice.orgの本格的な全庁導入への取り組みは愛媛県内では同市が初めてとなる。同市ではOpenOffice.orgを2010年度に庁内標準ソフトに採用する予定。無償で利用できるOSSを利用することにより、5年間で約3300万円のコスト削減を見込んでいる。また、特定のソフトウエアに依存しない標準的文書形式(Open Document Format=ODF)を採用することで、市民が有償のオフィスソフトを購入する負担をなくし、市民サービスの向上にもつながるとしている。 (アシスト:09年5月13日発表)
【コメント】四国中央市ではOpenOffice.orgの導入目的として次の3点を挙げている。
① オフィスソフト導入コストの抑制=初期投資としてはOpenOffice.orgはライセンス料が無償なため、オフィスソフトの調達コストを削減できる。また、運用面としてもバージョンアップやPCリプレースに伴っての費用は発生しないので永続的にオフィスソフトにかかる費用を抑制することが期待できる。
②文書ドキュメントの長期保存=OpenOffice.orgは国際標準規格(ISO26300)であるOpen Document Format(ODF)形式を採用している。他の商用オフィスソフトもODF形式に対応しているため、文書の長期保存が可能。また、政府でも標準規格に則ったファイル形式を進めていることから、OpenOffice.orgは信頼ある、将来有望なソフトウェアといえる。
③市民の利便性の向上、負担軽減=市民および企業との文書ファイルの交換は、行政運営を円滑に遂行するうえで欠かせない事務となる。しかしながら、これまでの有償ソフトで実現していた機能が無償ソフトで可能となったことや景気悪化に伴い、個人および企業では、無償ソフトであるOpenOffice.orgの利用が急速に進んでいる。これら社会背景の中、行政でのOpenOffice.orgの導入は、市民との文書ファイルの交換において、有償ソフトの購入を強いる必要がなく、結果的に市民サービスの向上に繋がることが期待できる。
また、導入スケジュールについて同市では、 今後5年間におけるパソコン導入経費を削減するため次のスケジュールで、取り組んでいくことにしている。
平成21年3月
OpenOffice 3.00を全貸与パソコン(約1100台)へのインストール
平成21年度上半期
OpenOfficeの試用および実務下での導入基礎調査
平成21年度下半期
OpenOfficeの職員研修(e-ラーニングなど)
平成22年5月
OpenOfficeの本格運用開始
なお、小中学校用教育パソコン(約900台)についても順次移行予定となっている。
アシストが提供するOpenOffice.orgサービスをこれまで導入したユーザーは、住友電気工業、NTTコムウェア、トーホーグループそれに地方自治体では会津若松市などが挙げられ、これにOpenOffice.org導入の口火を切った栃木県二宮町などを加えると、徐々にその数が増えつつあることが分かる。今回地方自治体の四国中央市がOpenOffice.orgを導入したことは、今後一気にユーザーが拡大する可能性が出始めてきたということからも注目される。
現在、100年に一度の不況に直面している企業および地方自治体などではコスト削減が強く求められてる。商用ソフトのオフィスソフトではバージョンアップのたびにコストがかかり、各ユーザーはいかにこのコストを削減するかが課題となっている。OpenOffice.orgではバージョンアップしてもコストがかからないところから、政府もその導入には支援をしているところ。特に今後全国の地方自治体がOpenOffice.orgを導入するかどうかが注目されていただけに、今回四国中央市が導入を決定したことは、大きな影響を与えるものと考えられよう。
(ESN)