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◇企業システム◇NECがアプリケーションOSSおよびクラウドコンピューティング強化

2009-03-25 11:15:01 | アプリケーション

 【アプリケーション】NECはOSS(オープンソースソフトウエア)のSugarCRMを活用しいたCRM(顧客関係管理)ソリューションを体系化し、①構築サービス②SaaSーの2つの形態により販売を開始した。SugerCRMの国内正規取扱店であるオープンソースCRM社がソフトウエアのカスタマイズを担当し、NECがシステム構築、保守・サポートを担当する。既にNECのグループ企業であるNECシステムテクノロジーに対し、SugarCRMをCS向上/営業の生産性革新のツールとして納入、08年12月から稼働している。ApacheなどOSSミドルウエアのスタックを利用し、実働20日間という短期間でシステム構築を成功させている。 (NEC:09年3月4日発表)

 【コメント】NECはこれまでOSSに関してはミドルウエアでの事業を主に展開してきた。これらはApache、PHP、MySQLのような、今では広く普及している製品であり、もうこれらのOSS抜きに企業システムのシステム構築は成り立たないといってもいいような状況になっている。NECとしてはこのような状況においてOSSの次のステップであるアプリケーション分野にターゲットを絞った展開を図ることになり、今回SugarCRMをグループ企業で構築したノウハウを基に、一般ユーザーに提供を開始することになったもの。提供の形態もCRMシステム構築サービスのほかSaaSでの提供を行うことが注目される。これはセールスフォース・ドットコムがこれまで独占してきたCRM/SaaS市場に、どこまで他のソフト製品が食い込めるきるのかの試金石にもなるものとみられる。

 また、NECはセールスフォース・ドットコムにも力を入れており、08年9月にはVARパートナー契約を国内で初めて締結し、セールスフォース・ドットコムの認定セールス資格者を98人育成したのに加え、09年3月待つまでに100人以上に体制を強化すると発表を行った。このようにNECはCRM/SaaS市場でセールスフォース・ドットコムとシュガーCRMの2つの有力なブランドで、日本のアプリケーション市場に打って出ようとしている。NECの狙いは、“持たないIT”として今後の企業システムの重要要素となるであろうSaaS市場を他社に先駆けとらえ、優位に立つことにあるものとみられる。これは世界同時不況に喘ぐわが国の企業にアピールする絶好の機会となる可能性を秘めている。SaaSに加えアプリケーションOSSを品揃えすることによって、低コスト化をいかにユーザーにアピールできるかがカギとなろう。

 さらに、NECは現在自社システムにおいても、新しい時代に対応したシステム構築を目指している。また、自社システムを越えグループ内の関連システムについても、データセンターに統合・集中化し、クラウド指向のサービスとして提供することによって、TOCの大幅な削減を実現するとともに、このノウハウをベースに、クラウド指向の幅広いサービス事業を展開しようとしている。同社ではクラウド指向サービスの提供により2011年度までにTOC(運用費用/原価償却費)を20%以上削減する計画を立てている。このように、NECは今後のターゲットとして、アプリケーションOSSおよびクラウドコンピューティングを他社に先駆け提供することに置いている。(ESN)