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◇企業システム◇富士通、「IFRS適用支援コンサルティング」の販売を開始

2010-02-08 09:29:53 | アプリケーション

 【アプリケーション】富士通は、2010年より任意適用が開始される国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards 、IFRS)の適用を検討する企業向けに、「IFRS適用支援コンサルティング」の販売を開始する。「IFRS適用支援コンサルティング」は、IFRS適用において発生するユーザーの会計システムや業務プロセスの改善課題などを洗い出し、対策の立案から実施までを支援するサービスで、IFRSについて、事業会社としての対応に必要な実践的な教育も実施する。(富士通:10年2月2日発表)

 【コメント】これまで日本の会計基準は、いくどか変更されてきて国際会計基準に近づいてきている。ただ、まだ日本の会計基準と国際会計基準は、完全に一致しているわけではないが、07年8月に、日本の企業会計基準委員会は、国際会計基準理事会との間で協議を行い、その結果、2011年6月までに会計基準を全面的に共通化することで合意した。現在、日本の会計基準を適用している企業にとって、このIFRS適用による経営や経理・財務、さらに業務プロセス、ICTシステムなどへのさまざまな影響が指摘されている。しかしながら、個々の影響を予測することは難しく、企業それぞれに、解決すべき多くの課題が生じることになる。

 そこで、各ITベンダーは、顧客のIFRS対応の支援策をいろいろと講じているわけであるが、富士通は、このほどIFRSの「適用支援コンサルティング」業務を開始することを発表したわけである。同社の対応の具体的内容は次のようなものとなる。①ユーザーの適用方針や基準にもとづく社内および監査人との協議、問題解決を行う環境構築・運用、社内教育などに関するコンサルティング②適用にあたっての大きな課題であるICTシステム構築や改善について、経営力強化の視点より最適なソリューション(会計システムテンプレート、プラットフォームなど)を含めた方針の検討を支援③公認会計士、会計システムエンジニア、業務コンサルタントのプロフェッショナルな3者の役割をもった体制により支援。

 長年慣れ親しんできた日本型会計システムが、国際会計基準に変更されることは、日本の社会の国際化という面では大いに歓迎であろうが、実際に情報システムの開発・運用を担当する各企業の情報システム部門にとっては、大問題となってくる。会計システムは基幹システムの中でも、中枢となるシステムだけに、早めに手を打たなければならい。既に具体化に向かって動き出してはいるが、2010年以降も検討する項目としてはは、企業結合時に発生したのれん代の償却廃止、純利益の廃止、連結範囲の見直しなどが挙げられている。

 IFRSは、日本や米国会計基準と異なり、原則主義であるため、全社的に内容の正しい理解がより求められる。このため基準の読み取り方、システムへの影響度の考え方など、富士通では独自テキストと講師による教育をオンサイトで実施することにしている。この教育は、経営幹部のをはじめ、経理部門、営業部門、情報システム部門など、幅広い人を対象としており、会計的観点とビジネス全体の観点からIFRSの理解を深められると、同社ではみている。

 IFRS対応は、セキュリティ対応と共通する面があるようにも思える。企業として避けては通れない問題なのだから。特にIFRS問題は、個々の影響を予測することが難しく、企業個々の対応が求められことであろう。大手ベンダーにとっては、自社のユーザー対応をいかに迅速に正確に行うことができるかで、その真価が問われようとしている。(ESN)