飲食店チェーンでは従業員も500名以上で年商百億円単位に誇る中堅企業。私達夫婦は9月17日 大阪市内のターミナル駅にある、この飲食店で病院の帰りに昼食を摂り・・つい病院で受け取った医療事項記載カルテの書類を置き忘れたのである・・当日の夜、飲食店に問い合わせると書類があるということで後日、撮りに行く事を伝えたのですが取りに行った日・・なんと飲食店で紛失!!置き忘れた私達夫婦にも過失がありますが・・連絡し取りに行くことを伝えたうにも関わらず紛失した飲食店側にも大きな過失があります。飲食店側も事態を真摯に受け止め昨日10月12日 2回目の来訪となったのです。約束は15時・・私は14:30頃に来訪の準備を整え待っていると14:50分 ピンポ~ん♪呼鈴が鳴った。リビングの応答画面を見ると前回に来た部長とは別に、もう一人の男性が立っている。『少しお待ちください。』応答フォン越に答え玄関へと向かう。左半身麻痺のため足を引きずり廊下を歩く自分に歯痒く・・少し苛立ちを覚えた。『どうぞ、お入りください』玄関扉を開け二人の男性を自宅へと導いた。小柄の部長と、もう一人の男性は頭髪に多少の白髪が見えるものの年齢は40代後半というところか。私は静かに座布団に手を差出『どうぞ・・お座りください・・』座る前に、スッと白髪交じりの男性が名刺を差し出した【執行役員人事部長】(ふ~ん・・会社としての問題になってるんや)名刺を暫くみつめ、そっとテーブルの端へ置いた。『この度は誠に弊社店舗の不手際で○○様に大変、ご迷惑をおかけしましたこと深くお詫び申しあげます。』深々と頭を下げる人事部長は丁寧に詫びの言葉を言った。『ま、とにかく足を崩してください。』そう言うと『いえ・・』前回は足を崩した営業部長・・今回は執行役員が足を崩さないせいか営業部長も正座のままである。結局、私の書類は紛失のままで出てくることはなく社内で検討し執行役員が詫びにきたということらしい。『今回の件で弊社もお客様の預かりものについてルールを再検討し徹底させることとなりました。また店長の対応不足についても接客業として十分な指導強化を行ってまいる所存です。』足がしびれてきたのか再度、足を崩すように言うが『いえ・・』執行役員が答える横で営業部長は何度も足を動かしている。『それは御社内部のことで十分に行ってしかるべき・・で・・私の書類の件はどうなりましたか?』静かに尋ねると『再申請の御手間・・また交通費等の余計な出費・・これまでの時間と裁判への影響・・大変、失礼なことは十分に承知しておりますが・・』執行役員はそう言い営業部長へ視線を向けると営業部長は鞄の中から1通の封筒を取り出した。『○○様に、おかけした事を大変失礼な対応ですが弊社としてのお詫びの気持ちとしてお受け頂ければと存じます。』ハンカチを取り出し額の汗を拭き恐縮しながら執行役員は言葉を続けた『あらためて不愉快なお気持ちをさせてしまったこと大切な書類を紛失してしまったことを弊社の顧問弁護士にも相談し出した結論です。』私は封筒を見て『あの時・・店長が誠意あるお詫びを言ってくれれば私の気持ちも少しは治まったと思います。決して・・そのようなものが欲しくて申し上げたわけではありません。』しかし会社として一旦、区切りをつけるには【お金】なのであろう・・『十分に承知しています。今日のところは、これを、お受け取りください。そして万一、○○様の医療カルテが、どこかで悪用されたり公になるような事が発生した場合、弊社として誠意をもって、その時は対応させて頂く所存です。』執行役員と営業部長は再び・・両手を畳につけ深々と頭を下げた。そして『社内の経理処理上、○○様の受け取りサインが必要です。誠にお手数をかけますがサインを頂けますでしょうか?』私は二人の節度ある対応と言葉に従い書面にサインを了承した。テーブルに置かれた書面には【金3万円】とあった。『どうぞ封筒の中をお確かめください・・あ、それと・・』営業部長は手元にあった袋を私に差出、『先日の御茶に合うお菓子です。どうぞお召し上がりください』紙袋を受け取ると少し重い・・・(何やろ?)その後、少し雑談をし二人の男性たちは立ち上がり『それでは失礼いたします。』廊下で一礼し玄関ドアを開けて出て行った。部屋から外を見ると『失礼いたします。』自宅の門の前からそう言い再び一礼し帰って行った。二人が帰り妻にラインで『和菓子と3万円いただいたよ』と送信しておいたら17時過ぎ妻から電話があった『飲食店の人・・来たん?和菓子に3万円??やった!!ラッキー♪』嬉しそうに言う・・(無邪気なもんやな♪)『今度、美味しいもんでも食べに行こうや♪』声をはずませると『い~や。。貯金しとく♪』しっかりものの妻だったのでした。