縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

まだまだ安心できないエイズ

2006-06-01 23:54:00 | 海外で今
 先日『レント』という映画を見た。ブロードウェイのミュージカルを映画化したものだ。舞台は1990年頃のアメリカ。貧乏だけれども夢を追い続け、愛に悩み、更にエイズに苦しみ、それでも成功を信じ、互いの友情で支え合う若者たちの映画である。
 90年代初めといえば、フレディ・マーキュリーがエイズで亡くなり、ジュルジュ・ドンも亡くなった。僕はクィーンの公演を見に行ったし、ジョルジュ・ドンの踊るボレロに心打たれたし、90年代はエイズの脅威が一気に身近なものとなった時期だった。
 
 この度発表されたUNAidsレポートによると、エイズ感染は90年代の終わりがピークで、今はもう峠を越えたと考えられるらしい。
 エイズが発見されてから既に25年が経つ。抗レトロウィルス治療の普及により、エイズは必ずしも死の病とは言えなくなった。世界で3,860万人もの人がエイズに、HIVウィルスに感染しながら生きている。つまり、エイズと共存しているのである。もっとも昨年1年でエイズに起因する病気で280万人が亡くなり、一方で新たに410万人がHIVに感染するなど、エイズが大きな脅威であることに変わりはない。

 地域的な偏りもエイズの問題の一つだ。感染率で見ると、アフリカ、特にサハラ以南のスワジランド、ボツアナ、レソトなどでは、おおよそ成人の3人に1人がHIVに感染している。この高いHIV感染率がこれらの国の平均寿命の低さ、40歳前後と極めて低いことの原因になっている。唯一の救いは最近漸く感染者数、感染率とも横ばいになってきたことだろう。
 しかし、東ヨーロッパやアジアでは感染者数、感染率とも増加している。インド、ウクライナ、ロシアがひどい。インドは人口が多いことから感染率は0.9%と低いものの、感染者数では南アフリカを抜き、トップに立った。又、中国も今は感染率0.1%と低いが、今後有効な手立てを打たないと感染者が1千万人規模に拡大する恐れがあると言われている。

 では、有効な手立てとは何か。これはエイズに関する正しい知識、対策を広く知らしめる以外にない。“臭いものに蓋”ではいけない。なぜ臭いのか、どうしたら臭いを防げるのかを知ることが必要だ。

 同じアジアでもタイでは感染者数が減少している。1991年に新たな感染者数は14万人と急拡大したが、2003年には2.1万人へと減少している。実はこのエイズ拡大のさなか、僕は仕事でタイに行った。タイで役所、日本の経済産業省のようなところを訪ねたのだが、待っている間、ふとテーブルのパンフレットを見て驚いてしまった。背中に一面の赤い湿疹。そう、字は読めないが、これはエイズのパンフレットだ。ここが厚生省ならいざしらず経産省である。自らの管轄以外のパンフレットを置く役所を見て、タイではここまでエイズが深刻なのかと思った。
 反面、これだけ真剣にエイズに向き合っているのだとも感じた。これが先の新感染者数の減少に繋がっているのではないだろうか。インドや中国にも是非見習って欲しい。

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