縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
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EU拡大、バルカン半島へ

2007-01-05 23:51:00 | 海外で今
 1月1日、ルーマニアとブルガリアがEUに加盟した。これでEU加盟国は27カ国になった。EUは、2004年にポーランドやチェコ、旧ソ連のバルト3国など10カ国が新規加盟し中・東欧へと拡大したが、これでバルカン半島にも拡がったことになる。新年早々、まずはめでたい話である。
 が、実はルーマニアとブルガリアはバルト3国などと同じ時期にEUへの加盟交渉が始められたのだが、両国の加盟は2年半以上も遅れてしまった。なぜだろう。

 それには大きく三つの理由がある。第一に司法制度改革の遅れ、第二に食品衛生の問題、そして移民問題である。
 まず司法制度改革の遅れ。ブルガリアといえばヨーグルトが思い出され、のどかな国のような気がするが、実はまったく違う。マフィアの支配する国である。多かれ少なかれ、これはルーマニアもそうだし、更にはロシアもそうだ。共産主義国家の秘密警察などによる強権、弾圧の仕組みは、闇の勢力と結び付き易いのだろうか。体制維持のため互いに協力し、共に利権を享受して来たのであろう。国家は崩壊したが、マフィアはそのまま残った。両国では汚職や組織暴力、売春目的の人身売買などが横行し、強盗も多い。
 両国の加盟には事情をよく知るドイツが最も強く反対していたという。黒海沿岸など両国はドイツ人の好むリゾート先であり、いきおい多くの被害を受けているからだ。
 次に食品衛生の問題。EUは食の安全性を大変重視している。両国はBSE対策など食品衛生のレベルが低いと判断された。確かに先般の鳥インフルエンザ流行の際、感染の恐れがあっても鳥を殺すなどとんでもないと、皆で死ぬほど(?)鳥を食べたとか、鳥を隠したというルーマニアのニュースを見たことがある。

 そして最後の移民問題。両国の労働者の平均賃金は西欧諸国に比し極めて低い。ルーマニアが西欧諸国の2割、ブルガリアが1割といったところだ。こうした労働者が大量に流入すれば、賃金の下落はもとより自国民の失業問題に繋がるとの不安は根強い。
 ドイツは、旧東ドイツの問題を抱えることもあって2004年に加盟した中・東欧諸国からの労働者の受け入れを制限しており、今回も両国からの移民を制限した。一方、2004年に受け入れを制限せず、その後、ポーランドを中心に60万人を越す移民が流入したイギリスは、今回、労働者の受け入れを制限する方針に転換した。フランス、イタリアなどは建設や飲食業など人手不足の業種に受け入れを限定している。いずれも、一つのヨーロッパ、域内の自由な移動と労働という、EUの精神に反する話だ。

 にもかかわらず、なぜEUは両国の加盟を認めたのだろうか。それは使命感からだという。かつて世界の火薬庫と言われ、またボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の記憶も新しい、バルカン半島。その安定、平和がヨーロッパ全体の安定に不可欠との判断が大きく働いた。
 今後はクロアチアやマケドニア、更にはトルコのEU加盟も検討されている。経済規模、所得水準、民族、宗教等の違いを乗り越え、EUが拡大、発展して行くことを願いたい。

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