縁側でちょっと一杯 in 別府

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三井住友銀行に業務停止命令

2006-04-29 18:08:39 | お金の話
 金融庁が、27日、取引先にデリバティブの購入を強要したとして、三井住友銀行に当該業務の半年間の停止命令を発動した。アイフルに続き、またまた金融業界での処分である。又、中小企業への取引強要で優越的地位の乱用に該当という、銀行では初めての独占禁止法違反による処分である。金利スワップ実施を新規融資の条件にしたり、あるいは融資残高維持の条件に金利スワップ実施を迫ったのであろう。

 正直言って、住友ならさもありなん、といった感じである。いや、どこまで露骨にやるかどうかは別にして、どこの銀行も似たり寄ったりかもしれない。以前から、通常の貸出より儲かるからと輸出入に縁のない企業にまでインパクト・ローン(米ドルなど外貨による貸付)を行ったり、外貨預金をさせたりするといった話は聞いたことがある。金利スワップにしてもリスクヘッジ目的ではなく行わせる(早い話、投機)こともあるらしい。(もっとも以前私のいた銀行は、そんなえげつないことをしていなかったので、収益的には厳しかった。)
 新聞などの論調では、不良債権処理に追われ収益偏重に走ったツケと書かれているが、何も今に始まったことではないと思う。

 が、少し見方を変えると、今回の件がどこまで問題なのかという疑問がわいてくる。

 今回は中小企業に変動金利で融資する際、抱き合わせで金利スワップの実施を強要した例が多いという。その結果、支払金利が一定になり将来の金利上昇リスクは避けられるものの、始めから固定金利で借りたときよりもコストがアップする。スワップ取引に銀行サイドの手数料が入るからである。
 簡単に説明すると、①変動金利(6ヶ月の市場金利+0.5%)での借入、②金利スワップ(2%の金利を支払う代わりに、6ヶ月の市場金利を受け取る)、という取引を同時に行うことにより、6ヶ月の市場金利の部分が相殺され、0.5% + 2% = 2.5% の固定金利でお金を借りたのと同じ効果になる、ということである。ところが、2%の部分に銀行の手数料が入っていて、最初から固定金利で借り入れたら2.2%とか2.3%で借入できたかもしれないのである。

 とすると、今回、銀行が金利スワップを強要せずに、始めから2.5%と他社よりも高い金利で貸出をしたら問題になったであろうか。おそらくこれは問題にならない。リスクに見合った金利ということで説明され、金融庁も文句は言わない。それどころか銀行の経営健全化のためそれが必要だったと言うかもしれない。
 では、なぜ三井住友が初めから高い金利で貸さず、金利スワップを利用したのか。考えられる理由は二つ。一つは項目毎に本部から目標が与えられており、金利スワップの金額の足りない支店が取引先にスワップを強要した。もう一つは支店の収益管理上、固定金利の貸出のみと、変動金利の貸出と金利スワップを組み合わせて同じ水準の固定金利貸出を行うのとで、後者の方が支店の利鞘が大きいため、支店がその方法を選んだ、である。

 実態は同じでも、高い金利を払えと言えば問題なく、金利スワップを使えと言ったら問題になるという妙な話である。三井住友の弁護をするわけではないが、どこか腑に落ちない話だ。

 もっとも今回の件の背景には三井住友の過大なノルマと熾烈な支店間の競争があると思うので、その辺の意識は改善して欲しい。

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