ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

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直腸子宮内膜症は切除する必要があるのか? その6

2006-03-19 | 子宮内膜症
前回は腸管の狭窄について考えた。他には下血などもある。腸閉塞や下血の症状がなければ、なかなか積極的には腸管の切除まですることは考えにくい。悪性化も一応考えておかなければならない。

最近、卵巣チョコレート嚢胞の悪性化が指摘されるようになってきた。婦人科癌の専門家がある程度の基準を設けて卵巣チョコレート嚢胞は手術すべし!(卵巣を摘出)、という発表をしている。


子宮腺筋症と子宮体癌との関連を指摘するものもある。また、腸管の類内膜腺癌の報告もある。私の経験ではダグラス窩の子宮内膜症が悪性だった(初期の子宮体癌合併でしたが)ものもあった。ちなみに病理医によれば子宮体癌とダグラス窩の腺癌は発生が別ではないか、とのことだった。

重症子宮内膜症は慢性的な強い炎症を起こしているので、(とくに深部病変は)癌化と関連するのも理解しやすい。

10-20年も前には、卵巣チョコレート嚢胞の悪性化はほとんど指摘されていなかった。これから、10年後、20年後にはチョコだけではなく、腹膜、腸管の子宮内膜症や子宮腺筋症の悪性化が問題になっているかもしれない。

もちろん、だから子宮内膜症は切除すべしと言っているのではない。ただ、可及的にdebulking(子宮内膜症の病巣を減量させること)することが腹腔内のさまざまな臓器の癌化を抑制しているかもしれない・・・と漠然と考えている。どうだろう?

少なくとも10-20年以上経たないと結論は出ないだろうと思うが。
コメント
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