特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

ガリレイ変換の導出または原理

2021-06-13 11:02:48 | 特殊相対性理論

1.まえがき

 ガリレイ変換は特に疑問もなく提示され受け入れられている。その原因はあまりに常識と
 一致することによる。

 あるサイトで、ガリレイ変換の根拠は何かという問題があり考えてみた。

2.原理

 導出の原理として慣性系において
  ・ 特殊相対性原理の成立
  ・ 光速度は光源の速度を vとすると進行方向で c-v、反対方向で -c-v となる。
 とする。ここで、cは光源が静止しているときの(真空中の)光速度である。

3.計算

 まず、特殊相対論に倣って、変換を
   x'=a(x-vt) , t'=bt+dx (定数 a,b,dはvの関数)
 とする。まず、S系の原点に固定された光源から ±x方向に光を発射する。すると、S'系では
 x'<0 のとき、S系の原点は近づくから光速度は -c-v、x'>0では遠ざかるので、c-v となる。
 また S系では x=±ct だから
   x'/t'=±c-v=a(x-vt)/(bt+dx)=a(±c-v)/(b±dc) → a=b±dc
 となる。この2式を解くと
   a=b , d=0
 を得る。つまり
   x'=a(v)(x-vt) , t'=a(v)t・・・・・・①
 となる。特殊相対性原理から
   x=a(-v)(x'+vt') , t=a(-v)t'
 となる。すると、これらの t', tの式から
   a(v)a(-v)=1・・・・・・・・②
 を得る。同様に
   x'=a(v){a(-v)(x'+vt')-va(-v)t'}=a(v)a(-v)x' → a(v)a(-v)=1
 と確認される。

 つぎに、座標は勝手に設定したものだから、(x, x') → (-x, -x')の方向に設定しても物理は変
 わらない。このとき、v → -v だから①は
   -x'=a(-v)(-x-(-v)t) → x'=a(-v)(x-vt)
 となる。元の式と比較すると
   a(v)=a(-v)
 を得る。②から a(v)²=1 → a(v)=±1 となり、v=0 のとき、x, x'は一致するから、a(0)=1 とな
 り、結局、a(v)=1 を得る。つまり、ガリレイ変換
   x'=x-vt , t'=t
 を得る。

以上