特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

定速度 V で原点から y軸上を直線運動をする人に向かって,x軸上から定速度 U で、人を追いかける犬

2020-06-01 08:51:02 | 解析(微分方程式)

1. まえがき

 以下のような人を追いかける犬の問題があった。以前のMSの入社試験に似ている。

2. 問題

 定速度 V で原点から y軸上を直線運動をする人に向かって,定速度 U で、人を追いか
 ける犬
がいる。図のように、犬の初めの位置は x 軸上の座標 a の位置にあったとする。
 以下
の問いに答えよ。

 (1) t 秒後の 犬の位置を (x, y) とすると、犬の速度 (vx, vy) の成分の比 vy/vx を求めよ。
 (2) dy/dx および d²y/dx² を x, y, t, V を用いて表わせ。
 (3) Uを dx/dt, dy/dx を用いて表わせ。
 (4) (2)、(3) より犬の進路曲線の微分方程式(t を含まない微分方程式)を導け。
 (5) U=V の場合、犬の進路曲線の微分方程式を解け。
 (6) U=V の場合、犬が人に近づきうる最終距離を求めよ。



3. 計算


 時間微分を「'」であらわす。

 (1)
    vy/vx=y'/x'=(dy/dt)/(dx/dt)=dy/dx=(Vt-y)/(-x)=(-Vt+y)/x・・・・①
 (2)
  ①から
    dy/dx=(-Vt+y)/x・・・・②
  y(x) のグラフを求めるには、②から tを消さねばならない。そこで②を変形した
  x(dy/dx)=-Vt+y を tで微分して(d(dy/dx)/dt=(d²y/dx²)(dx/dt)=(d²y/dx²)x' より)

    y'+x(d²y/dx²)x'=-V+y' → d²y/dx²=-V/(xx')・・・・③
  となる。

 (3)
  dy/dx=y'/x' だから
    U²=x'²+y'²=x'²{1+(y'/x')²}=x'²{1+(dy/dx)²}
  x'≦0 だから、U≧0 にとれば
    U=-x'√{1+(dy/dx)²}・・・・④
  となる。

 (4)
  ➂④から
    d²y/dx²={V/(Ux)}√{1+(dy/dx)²}

 (5)
  U=V だから
    d²y/dx²=(1/x)√{1+(dy/dx)²}
  p=dy/dx とおくと
    dp/√(1+p²)=dx/x → log|p+√(1+p²)|=log|x|+A → {p+√(1+p²)}/x=±eA
  ここで改めて ±eA ⇒ A(≠0) とおくと
    p+√(1+p²)=Ax
  となる。
  x=aのとき、p=dy/dx=0 だから、A=1/a
    √(1+p²)=(x/a)-p → (1+p²)=(x/a)²-2(x/a)p+p² → p=x/(2a)-a/(2x)
  積分して
    y=x²/(4a)-(a/2)logx+B
    y(x=a)=0 だから、B=(a/2)loga-a/4
  ゆえに
    y=x²/(4a)-(a/2)logx+(a/2)loga-a/4

 (6)
    y'=dy/dx=x/(2a)-a/(2x)だから
    (xy')²={x²/(2a)-a/2}²

  ABの距離Dは
    D=√{(Vt-y)²+x²}・・・・②を入れて
     =√{(xy')²+x²}=√[{x²/(2a)-a/2}²+x²] → a/2 (BがAに近づくのだから、x → 0)



以上

[2020/6/2] 微分方程式から変数 tを削除する方法(d²y/dx²の導出)を分かり安くした。