特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

∫√(x+(√(x+(√(x+・・・) dx を求む

2020-05-19 15:14:52 | 解析(極限・数列)

1. まえがき

 ネットに ∫√(x+(√(x+(√(x+・・・) dx を求める問題があった。基本的には関数を極限
 を求める問題のだが、議論を見ると杜撰なので考えた。内容はオチャラケなので緻密
 な議論は求めていないようだが、数学としてどうだろうか。


2. 計算

 関数の極限が存在するとして、y=√(x+(√(x+(√(x+・・・) とおくと y=√(x+y) でもある
 から y²=x+y, y={1±√(1+4x)}/2 をえる。

 ここで、y≧0 はすぐ分かり、x≧0 だから、y={1+√(1+4x)}/2 としていた。積分は簡単
 で
    ∫√(x+(√(x+(√(x+・・・) dx=x/2+(1+4x)3/2/12+C
 をえる。

3. 問題点

 問題点は2つある。時折見かけるこの奇妙な数列は収束するか? x≧0とする根拠は?

 yの解からは
    y={1+√(1+4x)}/2 → x≧-1/4・・・・・①
    y={1-√(1+4x)}/2 → 0≧x≧-1/4・・・・②
 が得られるが始めの疑問を解かない限りこの議論には意味が無い。

 問題は与式の意味が不明確なことである。明確な定義をしない限り、いかなる議論も
 無意味となる。そこで、よくあるように次の数列で与式を定義する。
    yn+1=√(x+yn) , n≧1 ・・・・・③
 問題は初期値(初期関数)y[1] の決定であるが、まず、この数列の収束を検討する。
    yn+2-yn+1=√(x+yn+1)-√(x+yn)=(yn+1-yn)/{√(x+yn+1)+√(x+yn)}
 となる。したがって、(y2-y1)の正負とyn の有界性によって、帰納法により極限の
 存在が言える。

 ①②の2つの解の意味を考えるが、y1 に一般性を持たせると議論が複雑になる。
 したがって、以下では、y1=√x とした簡単な例を見る。

4. y1=√x の議論

 当然、x≧0 であり、x=0 のときは、y=0 は自明(つまり、解は➁となる)。した
 がって、x>0 とすると、収束解は①のみとなる(②ではy<0だから)。また、
 y2=√(x+√x)>√(x+0)=y1 だから
y2-y1>0 となり、yn は単調増加となる。

 つぎに、y₁=√x<1+√x である。yn<1+√x と仮定すると、
    yn+1
=√(x+yn)<√(x+1+√x)<1+√x (両辺を2乗すれば明らか)
 となり、帰納法から、yn<1+√x となり、上に有界となる。つまり、x>0 のとき、
 yn は収束し、その解は①となる。このとき、y → 1 (x → 0) だから、x=0 で
yは不連
 続関数となる。

以上



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