1.まえがき
下記の極限を級数展開やロピタルの定理を使わずに求めよ。という問題があった。
lim[x→0] { (ex-1)/x }(1/x) = √e (x≠0)・・・・・①
2.仮定
設定がよくわからないが、何かの前提を決めないと求められないはずなので
(1+1/x)x → e (x → ∞)
つまり、
(1+x)(1/x) → e (x → 0) ・・・・・・・・・②
を使う。
なお、級数展開というのはランダウの o記号を使った級数と思われる。
3.計算
まず、x → 0 なので、0 < |x| < 1 として議論してよい。
3.1 0 < x < 1 のとき
1+x+x²/2 < ex < 1+2x/(2-x) ・・・・・・・③
が成り立つ。証明は4項。すると与式から
{ 1+x/2 }(1/x) < { (ex-1)/x }(1/x) < { 2/(2-x) }(1/x)
が成り立つ。左辺は②により
{ 1+x/2 }(1/x) = { ( 1+x/2 )(2/x) }1/2 → e1/2
となる。
右辺は
{ 2/(2-x) }(1/x) = 1/{ (1-x/2)(-2/x) }-1/2 → 1/e-1/2 = e1/2
となり、挟み撃ちから、①が証明された。
3.2 -1 < x < 0 のとき
y=-x とおくと、0 < y < 1, y → 0 となる。さらに
{ (ex-1)/x }(1/x) = { (e-y-1)/(-y) }(-1/y) = 1/{ e-y(ey-1)/y }(1/y)
= e/{ (ey-1)/y }(1/y) → e/√e=√e (3.1項から)
したがって、x < 0 でも①が証明された。
以上により、x≠0 について、①が証明された。
4.不等式③の証明
1+x+x²/2 < ex (x>0) の証明は、マクローリン展開から自明だが、級数展開を使用せずと
のことなので、定石に基づき証明する。
f(x)=ex-(1+x+x²/2)
とおく。すると f(0)=0 であり、f(x) > 0 (x > 0) を示せばよい。
f'(x)=ex-(1+x) , f'(0)=0
f''(x)=ex-1 , f''(0)=0
f'''(x)=ex > 0
となる。順次、遡ると f''(x) > 0 → f'(x) > 0 → f(x) > 0 が得られた。
つぎに、ex < 1+2x/(2-x) (x>0) を証明する。
g(x)=1+2x/(2-x)-ex
とおく。すると g(0)=0 であり、同様に、g(x) > 0 (x > 0) を示せばよい。このとき
2x/(2-x)=-2+4/(2-x) なので
g'(x)=4/(2-x)²-ex , g'(0)=0
g''(x)=8/(2-x)³-ex , g''(0)=0
g'''(x)=24/(2-x)⁴-ex , g'''(0)=3/2-1=1/2
g(4)(x)=24・4/(2-x)⁵-ex , g(4)(0)=3-1=2
ここで、24・4/(2-x)⁵ > 3 , ex < 3 (x < 1) なので、g(4)(x) > 0 となり、同様に、順次、遡って
g(x) > 0 が得られる。
なお、ex < 1+2x/(2-x) の関係の導出の根拠であるが、級数展開から (x < 1 に注意して)
ex =1+x+x2/2+x3/3!+・・・+xn/n!+・・・ < 1+x+x2/2+x3/22+・・・+xn/2n-1+・・・
=1+x{1+x/2+(x/2)2+・・・+(x/2)n-1+・・・}=1+x/(1-x/2)=1+2x/(2-x)
を得る。
以上
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