特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

地球と宇宙船で年齢のやり取りをした時の結果

2023-06-03 23:14:00 | 特殊相対性理論

1. まえがき

 次のような特殊相対論の面白い問題があった。

 慣性系Sの原点に静止したAがいる。BはS系で+x方向に速度 v=0.8c で運動するロケットに
 乗っている。Bが x=0 を通過したとき、共に20才であることを確認した。

 つぎに、Aが1年後、21才になった時、この歳 A1=21 をBに向かって光通信した。Bはこ
 の信号を受けると当時に、自分の歳 A2 をAに向かって光通信した。Bはこの信号を受け
 ると同時に、自分の歳 A3 をBに向かって、光通信した。

 以上の手順を繰り返したときの一般項 An (n=1,2,…) を求めよ。

2. 計算

 慣性系S'はS系に対して、+x方向に速度 vを持つとし、BはS'系の原点にいるとする。そし
 て
    β=v/c、γ=1/√(1-v2/c2)=1/√(1-β2)
 とする。

 S,S'系の時空をそれぞれ (x, t), (x',t') とする。nを奇数として、S系の時刻 tn にAからBに向
 けて光を発射して、S系の時刻 tn+1 にBに到達したとする。

 このとき、BのS系での座標を xn+1 とする。すると
    xn+1=vtn+1 
    tn+1=tn+xn+1/c=tn+βtn+1 → tn+1=tn/(1-β)
 すると
    xn+1=(v/(1-β))tn

 この時、S'系の時刻は(返信してくるBの年齢)

    t'n+1=γ{ tn+1-(β/c)xn+1 }=γ{ tn/(1-β)-(β/c)(v/(1-β))tn }
      =γ{ tn/(1-β)}{1-(β/c)v }=γ(1+β)tn =( √{(1+β)/(1-β)} )tn 
      =ktn 
 ここで
    k=√{(1+β)/(1-β)}=√(1.8/0.2)=3
 と置いた。

 Bは信号を受けると同時に(S系で時刻 tn+1)、Aに向けて、返信するので、これが Aに届く、
 S系の時刻 tn+2 は
    tn+2=tn+1+xn+1/c=tn/(1-β)+(v/(1-β))tn/c={(1+β)/(1-β)}tn=k2tn 
 まとめると
    n:奇数
    t'n+1=ktn 
    tn+2=k2tn 
 ここで、t1=1 (1年後なので、原点合わせから)となる。

 この数列 tn は簡単に解けて
    n:奇数
    tn=(k2)(n-1)/2 t1=k(n-1)=3(n-1) 
    t'n+1=(k2)n/2=3n 
 により、順次時刻が決定される。

 これを An にすると、原点合わせの時、共に20歳だったから
    n:奇数
    An=tn+20=3(n-1)+20
    An+1=t'n+1+20=3n+20
 となるが、偶奇で分けずとも
    An=tn+20=3(n-1)+20 (n=1,2,…)
 となる。

 実際の数値は

   A1 A2 A3 A4  A5 A6
 A 21      29       101
 B      23     47     263

以上