特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

級数を使って積分を求める方法

2019-11-06 19:35:07 | 解析(積分)

1. まえがき

 EMAN氏の掲示板で級数を使って積分を求める方法が載っていた。その簡単な例を紹介する
 (掲示板がダウンして閉鎖されてしまったので詳しい手順がわからなくなった)。


2. ∫[0→∞]{log(x+1)}²/x² dx =π²/3

  I=∫[0→∞]{log(x+1)}²/x² dx (log(1+x)=tと変換)
   =∫[0→∞] t²e^(-t)/(1-e^(-t))² dt

   1/(1-1-e^(-t))=Σ[m=0→∞] e^(-mt) (t>0 で、e^(-t)<1)
   1/(1-1-e^(-t))²=Σ[m=0→∞] (m+1)e^(-mt) (級数の積公式)
 から

  I=∫[0→∞] t²e^(-t) Σ[m=0→∞] (m+1)e^(-mt) dt
   =Σ[m=0→∞](m+1)∫[0→∞] t² e^(-(m+1)t) dt
   =Σ[m=0→∞]{1/(m+1)²}∫[0→∞] x² e^(-x) dx ( x=(m+1)tと変換)

 公式から ∫[0→∞] x² e^(-x) dx=Γ(3)=2!=2

  I=2Σ[m=0→∞]{1/(m+1)²}=2ζ(2)=π²/3


 3. I=∫[0→1] log x/(x²-1) dx=π²/8

 変数変換 log x=-y すると

  I=∫[0→1] log x/(x²-1) dx=∫[0→∞] ye^(-y)/(1-e^(-2y)) dy
 y>0 で e^(-2y)<1 から 1/(1-x)=1+x+x²+x³+・・・を使って
  I=∫[0→∞] y{e^(-y)+e^(-3y)+e^(-5y)+e^(-7y)+・・}dy
   =1+1/3²+1/5²+1/7²+・・・

 ここで、 ∫[0→∞] ye^(-ny)dy=1/n² を使った。
 つぎに、ツェータ関数から
  A=1+1/2²+1/3²+1/4²+1/5²+1/6²+1/7²+・・・=π²/6
 がわかっている。すると
  B=1/2²+1/4²+1/6²+1/8²+・・・
    =(1/2²)(1+1/2²+1/3²+1/4²+・・・)=A/4=π²/24

 ゆえに、
  I=1+1/3²+1/5²+1/7²+・・・=A-B=π²/6-π²/24=π²/8
 を得る。

 この計算は、解析入門Ⅱ、杉浦に留数を使って面倒な計算によって求めている。
  J=∫[0→∞] log x/(1-x²) dx= -π²/4
 を留数で求めたあと、 x → 1/x と変数変換を使って
  K=∫[1→∞]log x/(x²-1) dx=∫[0→1]log x/(x²-1) dx
 がわかる。この両辺を足したものは上の -Jである。つまり -J=2K
 したがって、
  K=∫[0→1]log x/(x²-1) dx=-J/2=π²/8

以上